「――待って! アルベド!!!!」
俺が橙色騎士を引き取った事により、困っている猫を助けるというヴァレリナの願いが一つ叶って無事ハッピーエンド……までは良かったのだが、ついさっきまで橙色騎士の目の前でスケッチをしていたアルベドの姿がない。
「あれ? 橙色騎士、アルベドは?」
橙色騎士に問いかけると、彼は小さく鳴きながら鼻先を扉の方に向けた。
「嘘、帰っちゃったの!?」
今回、ここでアルベドに会ったのは本当に久しぶりだった。
まさかこんなところで会えるとは思っていなかったから嬉しかったし、久々に色々と話ができると思っていたのだ。
それなのにまさか別れの挨拶もなく、いつの間にかいなくなってしまうとは……いや、相変わらず自由でマイペースでアルベドらしいといえばそうだけど、これを逃せばまたしばらく彼に会う機会がなくなってしまう可能性もある。
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