また明日「観覧車?」
「うん。一緒に乗って欲しいんだ、委員長くん」
転校生──類の誘いに、委員長くん改め司は首を傾げる。
「構わんが、この辺りに綺麗な景色の見える観覧車はないぞ?近場のから見える景色は大体ビル街ばかりで……」
そんな司の言葉に、それでいいんだと類は笑う。
「実は、観覧車に乗ったことがないんだ。景色を見るのもいいけれど、観覧車自体を楽しみたくてね」
「そうか……。なら、今からほかの友人たちも誘っていくか。きっと校門の辺りにまだ───」
「ううん、君だけがいいんだ、委員長くん」
「えっ」
その頼みを聞いて、司の口からは素っ頓狂な声が漏れる。観覧車に2人はなんだか、そう思って類の方を見ても頼んだ本人にそういった意図はないらしく、そんなことを考えた司自身が恥ずかしくなってしまった。
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