Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    かべうちのかべ

    @mahokabeuchiaka

    まほやくのかべうち。壁打ちの結果であがった物を細々と載せる。
    学パロと両片想いが好き。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 21

    かべうちのかべ

    ☆quiet follow

    そういうブラネロ4 展示物。
    フォ学設定。ボス+チームメンバー達の小話。

    ※モブメンバーが沢山喋ります。
    ※まだ、付き合ってないブラネロ。
    ※ネ口は出ません。

    ペーパーラリーに続きますー。

    #そういうブラネロ4
    thatKindOfBranello4
    ##ブラネロ
    ##学パロ

    『誕生日のプレゼントは』「ボス!誕生日おめでとうございます!」
    「これ、皆で金出して買ったっス!」

     十二月。そろそろ雪でも降り出しそうな程に寒さが身にしみてきた頃。いつも溜まり場にしていた屋上は流石に寒いと、秋の終わりから新たに確保した音楽室。それなりに広いし、中で声は響くが、外にはあまり響かない。アイドル校の奴らは練習室というのがあるらしいので、授業以外で使われることはないらしい。存外居心地も良く、気に入っている。
     そこにいつも通り集まったチームのメンバーは、ボスであるブラッドリーが来るのを待ち構えていたように、入り口前に集まっていて、ドアを開けた瞬間に期待に満ちた目で出迎えられた。後ろではバースデーソングをピアノで弾いている奴までいる。いったいいつから待機していたのやら。

    「おぅ。サンキュ」
     勢いに押されつつも、これだけ祝われて嬉しくないわけはない。差し出されたプレゼントを笑顔で受け取れば、ちらほらと「ボス!早くあけてください」と声が上がる。
    それを収めながら、中央の教卓まで持って行き、ゆっくりと包みをあけた。
     紙袋から服だろうとは予想していたが、現れたそれは質のいい黒の革ジャケット。
    一体いくら集めたのかとか、誰が選んだのかとか、色々と思うことはあるが、聞くのは野暮というものだろう。なによりも、一目見て、気に入った。これを着てバイクに乗れば、きっと気持ちいいだろう。
    「お?いいライダースじゃねえか」
    「本革ッスよ」
    「皆で考えたッス!」
     ブラッドリーの好感触に笑顔を浮かべたメンバー達は口々に話し出す。それを聞いて頷きながら、ひとつ一つ感謝を返した。
     それぞれの言葉を一通り聞き終わると、「ボス」と後ろから声がかかる。

    「これとは別にいい肉をネロに託したから、なんか美味いもん、作ってもらえよ」
    「ネロに?」
     突然でてきた幼なじみで相棒の名前に思わず反応する。昨日から何度も連絡するが、素っ気なく誘いを断わられていたから余計に、だ。
    「はいッス。ボスにはいい肉! って思ったんスけど、そこらの店で買ってくるよりボスの好きな味を知ってんのは絶対ネロさんッスから」
    「あ、一緒に買いにいったんで、間違いないっスよ」
    「普段買えないとびきりのやつだって言ってたッス!」
    「それで昨日から……」
     恐らくその買い物に行ったのは昨日だろう。「今日会えるか?」という問いに「用事がある」とバサリと切り捨てられたメッセージを思い出す。その後に続いた「冷蔵庫のやつ温めて食っとけ」という言葉に誕生日前だというのに冷たい奴だと思ったのだが、それもブラッドリーのプレゼントの為だったと思えば少し違って見えてくる。自然とこぼれ出た呟きに一番近くにいた奴が反応した。
    「どうしたんスか? ボス?」
    「いや、何でもねぇ。楽しみだと思ってよ」
     静かに微笑むその顔に、満足したのか、周りはより一層盛り上がった。ネロが最近チームに顔を出す回数が減って、真面目に授業を受け出したとしても、このチームのナンバー2であることは変わらない。そして、慕われていることにも変わりはないのだ。

    「いいな~! ネロさんの手料理!」
    「絶対美味いのが確定してる」
    「ボス、ほんとずるいっスよ~。あんな美味いもん毎日食えるなんて~」
    「うらやましい~」
    「はは。やらねぇよ」
     この言葉を聞いていたら照れながら悪態をつくだろう相棒の姿を思い浮かべながら、冗談交じりに言う。
    「ネロさんをボスから盗ろうだなんて命知らずいませんよ」
    「そうッスよ」
    「ボスに敵うわけないじゃないっスか~」
    「その前にネロさんにボコられます」
    「なんだよそりゃ」
    思いの外真剣に返ってきた答えに、周りからネロはブラッドリーのものであると認識されているようで気分が良くなる。これを言うとまた「は?ふざけんな。俺はお前のじゃねぇ」とかなんとか言ってくるのだろうが、それもブラッドリーは受け入れてやれる。なんと言ったって、
    「まぁ、俺様が以上にいい男はいねぇからな」
     そう言ってニヤリと笑えば、あちこちで歓声が上がる。
    「くあぁぁ。かっこよくてむかつく! でも大好きっス」
    「ボス~!」
    「はいはい。分かってるからはやくネロんとこ行ってやんなよ」
     数名は長年チームメンバーとして関わってきた奴だから、呆れたように笑って、ネロが授業終わってすぐに帰ったと教えてくれた。
    「そうか。じゃ、帰るわ」
    「ボス、お気をつけて!」
    「おぅ。誕プレ、ありがとな」
     音楽室を背に、ゆっくりと歩き出したはずの足はいつの間にか愛車のバイクに向かって、息を弾ませる程の早さに変わっていた。

    「今から帰る」
    一言、メッセージを送ればすぐに既読がつく。
    返された「気をつけてね」のスタンプを見る前に、エンジンのかかった愛車は白煙を上げて走り出していた。


    続→→
    ペーパーラリーへ。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💞💞💞💞💞💞💞💞💞💞💞🍌💖💒❤💞
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    かべうちのかべ

    MENU『冬から春へ』
    の書き下ろし2作の冒頭部分抜粋しました。( )内の計は全文の長さ。サンプルはその三分の一くらい。

    『お気に入りは』←オエちゃんとネの出会いと、その数ヶ月後。(計3200字くらい)
    『宴の夜に』←ブ様とおシャイがお話するところ。(計1600字くらい)
    頒布先→ https://mahokabeuchiaka.booth.pm/items/3914349(BOOTH店舗)
    『冬から春へ』書き下ろし文サンプル『お気に入りは』

     ブラッドリーの城の近くの森で動物たちから面白い噂を聞いた。
    『俺たちの言葉がわかるやつがいる』
    『ちょっと聞かないなまりのあることばを話す』
    『近くにいると穏やかな気持ちになる』
    『食べたことのないような、甘くておいしいものをくれる』 等々。
     
     最近何もなくて退屈だし、オーエン以外で動物と話せる存在はそう多くない。それになにより、『甘くておいしいもの』が気になった。オーエンは甘いものに目がないのだ。
     巻き起こる吹雪の中を歩いているとは思えないほどに悠々と進み、しばらく行けば視界が開ける。ブラッドリーの治める領域の中へとたどり着いたのだ。今は昼前で太陽が真上に上り、先ほどとは打って変ってかなりの晴天になっている。そのおかげか、遠くの街の煙突の煙まできれいに見えているが、そちらには目もくれず、その北側へと広がる森へと歩を進めた。
    1657

    かべうちのかべ

    DONE再掲
    ・初めて激オコしたネ君と何が悪かったか分かってないブの話

    第1回ブラネロ冬春ワンドロライ、4回目のお題:喧嘩 より。
    2021.8.30にTwitter掲載済。
    『らしくない』「……」
    「ネロ?なんだそんな恐い顔して」
    「これ……、どうした?」
    「お、それな。美味かったぜ!」
    「……食ったのか?」
    「おう」
    「昨日、これだけは食うなって、言っといたよな?」
    「そう……だったか?まぁ、でもこんな美味そうなもん我慢できねぇし、また作ればいいだろ?」
     悪びれもせずにそう言って笑うブラッドリーとは反対に、ネロは感情を落としたように無表情だ。何度か耐えるように呼吸を繰り返していたが、どうにも収まらない怒りがあふれ出す。
    唇をかみしめ、顔をゆがめてブラッドリーをにらみつけるとキッチンから荒々しく駆けだした。感情にまかせた言葉を吐き捨てて。
    「てめぇは……野菜でも食ってろ!」
    「は? おい、ネロ!」

     涙こそ出てはいないが、明らかに傷ついた表情で去って行ったネロに困惑するブラッドリーは、何がなんだかさっぱりと分かっていなかった。そのまま呆然と扉を見つめ考え込むが、何度思い返してみてもいつものつまみ食いとなにも変わらない行動だったと思う。
    2146

    related works

    recommended works