気まぐれで付き合いを承諾した悟がフラれて恋心を自覚して恵に縋り付くお話(あらすじ)『好きです』
別になにを求めたわけでもなかった。
ただ、自分の中の気持ちに整理をつけたくて、自分のためだけに紡いだその言葉。答えなんて、見返りなんてなにも求めてはいなかったのに。
『ふぅん? じゃあ付き合う?』
まるでペットでもあやすかのような気軽さで、その人はあっさりと俺の言葉に答えを渡した。
整理するはずが無理矢理ひっくり返されてそこら中に散らばってしまったようなものだ。もう修復もできないそれをどうすることもできなくて、でも確かに気持ちはそこに残ってしまっていて。
だから自分から幕を引いたのに。きちんと終わりの言葉を告げて、扉に鍵をかけて、全部全部閉じ込めたと言うのに。
なのに、なぁ。どうしてアンタはまだそこにいるんだよ。
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