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    綾崎寝台

    @kopa382

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    綾崎寝台

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    妹にリクエストされたハロウィンカブナツ。

    カブを殴りたい病に耐えながら書きました。

    魔法の手のひらハロウィン
    それはこのデカダンスシティで行われる楽しいイベントである。現実に存在しないオバケの仮装や派手な服装でシティを練り歩き、そして「トリック・オア・トリート」の掛け声でお菓子やオキソンをもらう。そんな大人も子供もサイボーグも楽しめるようなイベント事なのだ。

    そして、ナツメもそれを楽しんでいる一人だった。


    「組長!組長!楽しいですね!」

    そう言ってリボンのついた小さなお菓子とオキソンの詰まった籠を下げて歩くのは、魔女の仮装をしたナツメだった。深い紫をメインとした三角帽とほうきの似合うベーシックな魔女である。髪もオレンジなのでハロウィンの雰囲気によく合っていた。

    「浮かれ過ぎて転ぶなよ」

    そう返すのはカブラギ、彼は茶色の毛皮を纏う狼男だった。だが、彼の格好は言うなれば着ぐるみのようなもので全身がふさふさとした毛皮で覆われていた。狼の頭部はカブラギ本人の顔の上に位置しており、狼の口の中から彼の顔だけが見えているような状態だった。
    見る人が違えば、成人男性を食っている二足歩行の狼と言われてもおかしくない仮装だった。

    「転びませんよー!もう子供じゃないんですから!」
    「ナツメはナツメだろう」
    「アタシが何年経っても変わらないアホだって事ですか!?」
    「そう聞こえたんなら、そういう事だ」
    「今ここでそう答えないで下さいよ!?」

    思い出のセリフが台無しだと怒るナツメに、どうどうと適当に頭をわしわしと撫でなだめるカブラギ。

    一見カブラギの対応は雑なものだが、今しがた仮装をした子供やサイボーグ達がナツメにイタズラをしようとしていたのを、鋭い眼光と表情で威圧し蹴散らしたところなのだ。

    ナツメにイタズラは許さん

    そう語る目だったと、同じくナツメに対して過保護気味のミナトでさえ語る程度にはわかりやすい反応だった。

    加護欲なのか独占欲なのか、本人も無自覚なのだろうがこのハロウィンの日には傍迷惑である。

    おかげで一部の子供は泣き出し、ナツメはカブラギの顔が怖いからだと怒り心頭になって狼の口を無理矢理閉じてカブラギの顔を封印しようとしたり、と大騒ぎしていた。

    「もー!なんで組長はそんな事するんですか!ハロウィンですよ!?もっとお祭り感覚で考えないんですか!?」
    「いや、しかし…」
    「しかしもかかしも無いっ!!!」
    「お、おう」
    「…三年も居なかった組長が帰ってきて…せっかく一緒にいるんですから…楽しい思い出にしましょうよ…」
    「………すまん、ナツメ」
    「…わかればいいんですよっ!
     ホラ行きますよ、まだハロウィンは終わってませんから!」
    「…わかった」


    奇跡のような出来事を起こすトリガーとなった少女の手のひらは、迷子のように目的を見失いがちな狼の手を暖かな魔法のように導く。

    それは三年前も、今日も、明日からも、ハロウィンのように一夜では終わらないだろう。



    「やっぱ、すごい奴だよ。お前は」
    「当たり前ですよ!ずっと横で見ててくださいね!」
    「ああ」




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    綾崎寝台

    DONE去年のデイリーライトバグネタとうちの子達のお話。

    あんまりほっとくと(私が)忘れちゃうので頑張って書いた。閑話的にゆるっと読んでください𓆩✧𓆪

    あのバグ、SNSで見る限り嫌悪感のある人が多かったように感じたけど、キャラが操作できない以上に、小説内で語った感覚が強かったんじゃないかなーと思ってる。
    星に願うチクタクチクタク…

    体の中で昨日の光が巡ってく。
    不足過剰な流れは一定の量へ。
    余分な光は外側へと溢れてく。

    そうして、無害なエネルギーとして淡い発光の形をとる。

    その瞬間、自然と星の子は手を合わせる。



    デイリーライト更新、それは星の子に一日一度起こる、光の循環が校正される儀式だ。

    星の子は体内に貯蓄できる火種の量がある程度決まっている。上限自体は無いらしいが過剰に蓄積すると火種をキャンドルに変換する効率が悪くなる上、体の光の循環に影響が出て星の子自体の性能が落ちていく。これを一日毎に初期化する事で、あらゆるエネルギーの変換元であるキャンドルを効率良く精製し、星の子のパフォーマンスを維持しているのだとか。

    この更新が起こらない星の子は居ない。もし居るならば、火種の取り込みやキャンドル精製はおろか、体内の光が正常に働かなくなるだろう。そうすれば、飛ぶどころか歩く動作すらも、ままならなくなるのではないだろうか。
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    綾崎寝台

    DONEうちの星の子小説。ヂュリ助と師匠との出会い編。
    時系列的にはナギちゃん、トルク君のしばらく後、ネーヴと会うより前くらい。
    思ったより師匠成分薄くなったけど、とりあえずヨシ!

    小ネタとして、あんぽんたんはあほ太郎+反魂丹(古くからある漢方薬、不味い)から生まれた言葉遊びの悪口だそうです。
    願いを奏でる鳥の声跳ねて、鳴いて、飛び回るのが良い事だ。
    俯いて、泣いて、立ち止まるのは悪い事だ。
    そうありたいと思ったから、そうしよう。
    例えどう言われようと、そう決めたのだ。

    だって、立ち止まったら、動けなくなってしまうから。




    「う…わ、あぁー…すごい…!」

    書庫の崩れた壁の割れ目にあった結界を通り抜け、狭く暗い岩壁の隙間を恐る恐る抜けた先に、優しく星が光る青と紫の混じった夜の空を見た。

    ついこの前、自分は初めて『使命』を果たして地上に帰ってきたが、一度来た筈のあちこちに、見たことがない精霊たちの記憶が座り込んで居てとても驚いた。
    友達の花の冠をつけた星の子が言うには、一度転生すると見えるようになる以前の季節?とやらの精霊達らしい。なんのことだかさっぱりだが、精霊から学べる感情を覚えて損はないに違いない。あっちこちに居る彼らに触れる為、以前通れなかった結界を超えて冒険していたら、この優しい色の砂漠にたどり着いたのだ。
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