現パロ 鳥使いの銀時ピィィィィーーーーッ
「…ありゃ?」
響いた鳥の鳴き声を聞いて、銀時が空へ顔を上げる。視線の先に映ったのは一羽の大きな鳥。鳥は銀時が認識すると同時に降下する。その行き先は、銀時の元へ。
大きな鳥がいきなり降りてきた事に驚いて周りにいた人達が急いで銀時の元から離れていく。人々に囲まれるように一人立つ銀時。その肩に降り立った。
「あれ〜?なんでお前いんの?」
降り立ったのは一羽の鷹。立派な黄金色の眼がよく映える茶色かがった黒色の羽毛。強く鋭い眼光に反して銀時の頬に擦り寄るような様は意外性が凄い。
「ふんふん、あ〜、マジかぁ…え、嘘!?帰りたくねぇぇええええ」
鷹を相手に受け答えをしていたかと思えば帰りたくないと突然嘆きをあげる銀時に周りはついていけない。するとそんな所に響いたのは凛としたテノール声。
「遅せぇよ、馬鹿銀」
「げっ」
コツっと次に鳴ったのは靴の鳴る音。わざとらしくなるその音は、また突如と現れた妖艶な雰囲気を纏った、整形でもしたかと聞きたくなる程顔の良い声の張本人には嫌に良く似合う。どこか危険なものを感じさせる笑みは威圧を生み出す。
「またテメェは鳥使って情報仕入れてんのか」
「これはこいつらが勝手にやってる事であって俺は命令も頼みもしてねぇよ。人聞きの悪いこと言わないでくれません?」
「はっ、どうだかなァ」
チラッと高杉は銀時の肩に乗る鷹を見た。
「ちょっとぉ?うちの子を睨まないでくれません?」
「睨んでねぇよ」
「あ、ごめーん。元々そういう目付きしてましたね〜俺としたことがうっかり☆」
「殺されてぇのかテメェ」
今度はしっかりと睨みをきかせて銀時へ向き直った。狂気じみた言葉と口元の笑みは恐ろしく彼の危険な魅力を引き立てた。まぁそんな狂気じみた彼の魅力は何年も共にして見慣れた銀時にはかすりもしないのだが。
「で?何しに来たの?」
「はっ、冷てぇなァ。迎えに来てやったんだろ?この俺様が」
「はぁ?俺まだ何もやらかしてないけど」
「まだってなァなんだ」
「いんやなんでも」
「まァいい」
「で、なに」
「先生が呼んでる」
「は、」
「お呼び出しだ」
「…えぇ…」
「今度ァ何やらかした」
「いやだからまだ何も」
「“してない”…わけ、ないでしょう?」
ねぇ?銀時?
突如割り込んだ声に銀時が固まる。突然の本人登場に高杉は少し驚いたようだがすぐに銀時に冷めた視線を送った。壊れたブリキのように振り向くその様は呆れを呼ぶだけ。視線の先にいたのは予想通りの人物、吉田松陽だ。
「まさか、心当たりがないとでも言うのですか?」
「い、いや、ほんと、何も、やらかしてないって」
「銀時、私は悲しい限りです。糖尿病の前に認知症とは…」
「誰が認知症だ!!いやほんとだって松陽、まじで何も心当たりないんだって」
「警察官」
「へ、?」
「これでも、心当たり、ありませんか?」
「けーさつ…………あっ」
「…銀時」
「あーっと、えーっと……つい☆」
「つい、で許されるならば、それこそ警察なんていりませんよねぇ?」
「ごごごごめんなさいでしたぁ!!!!」
「…馬鹿が」
急いで謝る銀時を見て高杉はため息をついた。ニッコリと笑っているのに悪魔を背負うかのように佇む松陽と焦った様子で謝る銀時は少々カオスだった。
…完?