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    じぇひ

    @Jjjjehi_51

    月鯉  いろいろかく

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    じぇひ

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    月鯉 現パロ サラダ記念日にちなんだ話

    月鯉 7月6日。そういえば昔サラダ記念日なんていうものがあったな、と黒丸のついたカレンダーを見てふとそんなことを思う。記憶が朧気で詳しくは覚えていないけれど、美味いと言ってくれたから記念日にしたというような内容だったはずだ。初めて耳にした時は随分と浮かれた話だと思ったりしたものである。もっとも、今の自分にはそうではなくなっていたが。
     今日の夕飯は唐揚げを作る予定だったから付け合わせも用意するか、と冷蔵庫を漁る。缶ビールばかり立ち並ぶ中に、いたたまれないといった感じでレタスがあったので適当にちぎって皿に盛っておく。メインの唐揚げの味が濃いからドレッシングは無しでいいだろう。ついでに出勤する前に冷蔵庫に入れていたタッパーも取り出す。中には調味料を入れて漬け込んでおいたもも肉がたくさん詰まってる。生姜をいれたから少しさっぱりとした味になっている筈だ。他にもマヨネーズやら胡麻などを入れておいた。所謂、隠し味である。
     ある程度衣をつけ終わったら鍋を用意して大量の油を投入する。普段なら油の処理が面倒くさいので揚げ物なんて滅多にしない。しないのだが……。
     米が炊けたタイミングでインターホンが鳴った。はいはい、と火を止めてから鍵を開ければそこには残業上がりの恋人が立っていた。
     「連絡した通りだったろう?ただいま、月島。」
     「はい。こちらもいい頃合いです。鯉登さん、お疲れ様です。おかえりなさい。」
     月島ぁ!と飛びつこうとする鯉登を制止する。ないごてえ……と言っていたけれど、揚げたてのうちが美味いので早く手を洗って下さい。と言えば何か手伝えることはあるかあ?と洗面所から声がする。こういう素直ところが好きだな、と唐揚げを皿に盛りながらそんなことを思う。噛み締めていると、廊下からパタパタと音が近づいてきてその軽やかさがこどものようで表情筋が緩んでしまう。
     「もうできたか?」
     「あと少しですよ。もう少し待っていてください。」
     「うん。月島の唐揚げ久しぶりだなあ。」
     「ひょっとしたら一年ぶりかもしれませんね。」
     「ここに来て初めて食べたのも唐揚げだった。月島の、店で食べるのよりも大きくてさっぱりしてるのが好きなんだ。」
      味見だ!といってつまみ食いをする鯉登を横に蹲ってしまった。
     (なにがサラダ記念日なんか、だ。意識してるのは俺も一緒じゃないか。)
     どうした?とこちらを覗き込む鯉登がやけに愛おしく思えたので髪を撫でくりまわす。揚げたてのうちに食べましょうか、というとそうだなと返ってくる。ビールで乾杯して感想を言い合ったり次は自分も手伝うなんて他愛のない話を延々と続ける、そんな時間が繰り返しずっと続けばいいのにと思った。

     食後、なにやら張り切って後片付けをしてくれた鯉登から同棲の話が出ることを月島はまだ知る由もなかった。
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