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    じぇひ

    @Jjjjehi_51

    月鯉  いろいろかく

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    じぇひ

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    月鯉 修作 現パロ

    毎日何かしら上げていきたいです。文字書き上手くなりて〜〜〜〜〜〜〜〜〜。

    #月鯉
    Tsukishima/Koito
    #現パロ
    parodyingTheReality

    接待線香花火 花火がしたい。仕事中、なんの脈絡もなくふっと浮かんだ願望だった。鯉登は手持ち花火をしたことがあるのだろうか。さすがにあるか、と思いつつも子供のようにはしゃぐ彼を想像してしまう。弾ける火花に照らされる華がある顔だとか、眉間に皺を寄せるほどに真剣に線香花火をする様子だとか。愛しい恋人の喜ぶ姿を空想すれば、月島の中で花火をすることは既に決定事項になっていた。
     コンビニにも置いてあるのだから便利な時代なったものだな、と片手に抱えて自宅まで小走りする。潮風にのって生暖かな空気が、身を包むスーツと相まって体感温度を上げていく。額には薄らと汗が滲んで来たけれど拭いもせず一心不乱に足を動かす。健康的な鯉登のことだからそろそろ寝る準備を始めているかもしれない。一層恋しくなって、自分を縛り付けるスラックスが煩わしい。ネクタイを緩めると、はしゃいでるのは俺の方だと自嘲した。そこの角を曲がれば鯉登のいる我が家が見えてくる。

     鯉登さん、といつになく大きな声で扉を開けるものだから「おかえり」と言う前にどうした?と聞いてしまう。それにしても繁忙期の割に早い帰宅だったな、と最近購入した人をダメにするクッション越しに廊下を覗く。そろそろ寝ようと思っていたけれどどうしても月島の顔が見たかったから雑誌を読んで帰りを待っていたのだった。ランニングでもしてきたのか?と思う様な出立の月島が何かを小脇に抱えて立っている。捲られた腕の逞しさや乱暴に緩められた首襟に、ほんのりと上気した顔ばかり注目がいってしまい肝心の何かが分からない。
     「あの、どうしても鯉登さんと花火がしたくなって。少し遅い時間ですがそこの海までいってやりませんか?」
     「やる!」
     既に風呂は済ませていたが、どうでもよかった。花火、花火か。最後にやったのはいつぶりだろう。小学校低学年の時に家族でしたのが1番古い記憶だった。兄である平之丞が忙しくなってしまい、それ以降花火をやる機会がなかったからだと思う。
     それにしても、と、ここ最近終電ギリギリの電車に乗って帰宅する月島を見る。この男は疲労が溜まってくるとこうして突飛なことを思いつくのだった。本当に突然なので毎回驚かされるが、そうした事を持ち込む時は決まって普段は見せないような幼子に似た顔をしているので本人がいいなら、と受け入れてしまう。しかもそういった日の翌日の月島は憑き物が落ちたかの様な晴れやかな顔をしているので断りきれない。とは言ったものの毎回全力で乗っかっているのは自分の方だった。
     とりあえず玄関で立ったままの月島を浴室に促して軽くシャワーを浴びさせてから自分もTシャツに着替えて外出の準備をした。旅先の店で貰ったよくわからないお揃いの柄のTシャツだ。月島が着ると少しプリントされた絵柄が横に伸びるところが好きだった。

     久しぶりの触れ合いに胸が躍る。私は花火を、月島はバケツを抱えながら空いた手を握り合い車の数も減った道を歩く。夕飯も食べずに帰ってきた月島のためにコンビニに入ってお握りを四つほど買った。レジに向かう途中、とても可愛いアザラシを模したスイーツがあったので夜中だと分かっていても、自分用に買ってしまった。
     浜辺には遠くの方で数人、自分達と同じこと考えているのであろう集団がマッチの炎の様に光りながら点在していた。さりげなく車道側を歩く隣の男が愛しくなってぶんぶん腕を振ればつよく握り返してくれる。潮の匂いと穏やかな波打ちの音を聞きながら歩くだけで幸せだった。
     侵入してくる砂に笑い合いながら蝋燭に火を灯す。2人でやるには量が多い、ファミリー用の花火パックを見て、どれだけ楽しみにしてたんだこの男はと、てきぱき準備を進める月島を見る。むぜねえ、と見つめていると「鯉登さん、準備できましたよ」と呼ばれた。

     思っていた通り鯉登は久しぶりの手持ち花火だった様でそれはもう楽しんでくれた。次々に色が変化する花火に驚いたり、もりもりと渦巻くヘビ花火をみてげらげら笑ったり、終いには両手に持ちきれない量の花火に火をつけようとしたのでさすがに止めた。海風で目にかかりそうになった前髪を邪魔だろうとどけてやると「あいがと」といって自分の頭に口づけをするものだから堪らない。思わず抱きつこうとすると「火を使うていで危なかじゃろが。ばかすったれ。」とデコピンを受けた。自分も相当浮かれているようだ。
     「これもやりたい!」
     「線香花火ですか。これは締めと相場が決まってるんです。最後にやりましょう。」
     「そういえばそうだったな。兄さあともやった記憶がある。よし月島!どちらの方が長く灯せていられるか勝負しような!」
     「はは、いいですよ。負けません。」
     時折吹く強い潮風に振り回されながら2人してじっと屈んで小さな灯火が砂に落ちていく様を見届ける。6勝4敗で自分の勝ちだった。ムキになってこちらの火を消そうと躍起になりかえって自分の物が消えてしまった時や出世せんぞと唸る様子がおかしくて、愛おしい。好きですと言えばぱっと笑って飛びついてきたものだから砂だらけになってしまった。
     「風呂、入り直さないとですね。」
     服についた砂を払う。腕も砂まみれになっている。
     「そうだな、私も少し汗ばんだからもう一回入ろう。」
     「じゃあ一緒に入りますか。」
     「うふふ、月島のすけべ。明日も会社なんだろう?長風呂はできんぞ。」
     悪戯っ子の様に笑う鯉登に口づけをする。ありがとうございます、たのしかったです、またやりましょうと言ってその場を後にした。

     昨日、珍しく早く帰宅した月島係長が満面の笑みで出勤した事で様々な憶測がオフィス内を飛び交ったのはまた別の話である。
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    nekoruru_haya

    DONE現パロ、ナチュラルに同棲。細かい事は気にしない方へ。
    ちょっとだけ血が出ます。
    「僕に洗わせてくれないかな!」

     真っ新な碧空みたいにキラキラした目でそう言われたら、断る事なんて出来ないよねえ。



     事の発端は僕が右手に包帯をして帰ってきたところから。まあ、手のひらをざっくり切ってしまっただけなんだけれど。それを見た松井が何故か喜々として「お風呂はどうするんだい?」って訊くから、どうしようねえ、なんて悠長に返事をしてしまった訳だ。身体はともかく、頭を洗うのは片手では不便かもと一瞬でも浮かんでしまった自分を呪う。
     その結果が冒頭の一言。
     そして今、僕は非道い目に遭っていた。

     先ずは冷水を頭から被せられた。初夏の気候とは言え冷たいには違いない。松井が温度の調節をする間中、冷水と熱湯を交互に掛けられてある意味健康になれそう。そう言う意味では健康だから必要ないんだけれども。
     漸く頭を濡らし終わっていざシャンプーな訳だけど、ここでも一悶着。
    「待って、松井。それ松井のシャンプーでしょ」
    「そうだけど」
    「僕ので洗ってよ」
    「もう手に出してしまったし、これ髪がサラサラになって」
     松井の髪ならサラサラになっても構わないし、むしろその方が良いんだけれど、僕の髪が 1626

    ぎねまる

    MOURNING初登場前の、苛烈な時代の鯉登の話。わりと殺伐愛。
    過去話とはいえもういろいろ時期を逸した感がありますし、物語の肝心要の部分が思いつかず没にしてしまったのですが、色々調べて結構思い入れがあったし、書き始めてから一年近く熟成させてしまったので、供養です。「#####」で囲んであるところが、ネタが思いつかず飛ばした部分です。
    月下の獣「鯉登は人を殺したことがあるぞ」

     それは鯉登が任官してほどない頃であった。
     鶴見は金平糖を茶うけに煎茶をすすり、鯉登の様子はどうだ馴染んだか、と部下を気にするふつうの・・・・上官のような風情で月島に尋ねていたが、月島が二言三言返すと、そうそう、と思い出したように、不穏な言葉を口にした。
    「は、」
     月島は一瞬言葉を失い、記憶をめぐらせる。かれの十六歳のときにはそんな話は聞かなかった。陸士入学で鶴見を訪ねてきたときも。であれば、陸士入学からのちになるが。
    「……それは……いつのことでしょうか」
    「地元でな──」
     鶴見は語る。
     士官学校が夏の休みの折、母の言いつけで鯉登は一人で地元鹿児島に帰省した。函館に赴任している間、主の居ない鯉登の家は昵懇じっこんの者が管理を任されているが、手紙だけでは解決できない問題が起こり、かつ鯉登少将は任務を離れられなかった。ちょうど休みの時期とも合ったため、未来の当主たる鯉登が東京から赴いたのだ。
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