新天新地の鴉となりて、主と朝寝をしてしまおう缶と、たまに瓶。その酒の量は、彼を監視している避雷捜査官でなくても顔色を変えて苦言を呈するだろうといえるほどだった。カフネもご多分に漏れずそうで、帰ってくるなりうげ、という顔をした。それらを消費した男……ネヴァのバイザーは珍しく外れていて、カフネを見る目も少し焦点の外れたそれである。包帯を巻いている手が空き缶を袋に入れ、瓶を一箇所にまとめる。一通りやることを終え、あとは本人の安否確認のみ。男の髪を掴んで軽く引っ張り、大丈夫かと問う。
しばらくこちらを捉えるだけで返事がなかった。起きているのに寝ているみたいで、なぜだか寂しいものを見ている顔をしていた。どうしようかと決めあぐねていると、やがてぬっと腕が腰にまわり、その勢いでソファーに引き倒された。
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