嫉妬——エーデルガルト「次は先日行われた、旧同盟領における交易路に関する資料なのですが……」
エーデルガルトがヒュ―ベルトと共に皇帝の私室へ缶詰となってから、実に数時間は過ぎようとしていた。
泰平の世を築くべく、彼女らは終戦後も政務に尽力している。
部下に割り振れる仕事はなるべく渡してしまっているが、後継者の育成もまだまだな現帝国においてほとんどの最終決定権はエーデルガルトにあり、彼女の机はいつだって書類の山に埋もれていた。
その山を今日こそ切り崩すと宣言したのはエーデルガルトであり、ヒュ―ベルトを呼び込んだのも彼女自身ではあるが、発案者だからとて疲労が軽減されるわけもない。
休憩を挟まず行われる書類仕事に、エーデルガルトは既に悲鳴を上げていた。
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