降志ワンライ:「夏祭り」「ラーメン」 21時頃まで聞こえていた祭囃子の音も止んで久しい時間に、その男はやってきた。
チャイムの音に玄関を開けると、夏の夜の蒸し暑い外気が一気になだれ込む。
うだるような空気と供に現れた彼は、開口一番「ごめん!!」と頭を下げた。
金色の髪、褐色の肌。一目見ただけでも整った精悍な顔立ちに、今は少々疲労と、自責の念を滲ませているその男の名を、降谷という。
迎え入れた志保はというと、ドタキャンの憂き目にあって帰宅後、未だ着替えていなかった浴衣姿のままだ。
「本当にごめん、この埋め合わせは必ず…!」
「…いいから、入って。開けっ放しだと暑いのよ」
ため息交じりに彼を部屋に促せば、落ち込んだ顔のままトボトボとついてくる。
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