呪術高専とよく似た自然に囲まれた都会の奥地に重たい影を背負ってそれは佇んでいた。療養を目的に作られた病院は人けもなく静寂に包まれている。元はどうだったか知らないがとても心が休まる場所に思えない。昼間だというのに周囲一帯がどこか薄暗く、人の身長を優に越える塀は外界から隠れているような、あるいは内側からナニモノかを逃がさない閉鎖的な作りをしていた。
「ここが今日の任務地? うへぇ、廃病院なんていかにも出そうな場所」
「廃墟となってかなりの年月が経ってます、建物の老朽化が酷いので足元には気をつけてください。……ターゲットの一級呪霊以外も多数の低級霊が徘徊していることでしょう。くれぐれも無理はしないでくださいね」
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