Singin' in the Rain辿り着いた軒先で、蒼司は恨みがましく突如泣き出した空を見上げた。
いや、恨むべきは空ではなく、自身の不幸体質のほうか。
今日の自身に起きたことは、我ながらなかなかに酷かったと蒼司は思う。
観たかった映画は機材トラブルで上映休止、食べに行こうと考えていた店は三軒が定休日、やっと入れた店も料理が届くまでに40分以上掛かった上に注文した料理と違うものが届けられた。
そして、公園をまったり散歩しよう…と歩き始めた矢先に、この通り雨である。
酷かった、とは思うが、不本意にもこういうことはよく起こる身の上である。
いつもなら、またか…で終わる、はずだった。いつもなら。
だが、“今日”は違う。何故よりにもよって“今日”なのか。
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