MMORPGパロ。進捗②「やあ、おかえり。工藤くん」
タウンへ戻り、他に行く場所があるという服部とはゲートのある広場で別れた。ひとりで街の中心まで戻ると、先ほどまで一緒にダンジョン攻略をしていた服部とはまた別の、見知った顔――降谷零が新一を出迎えた。
「降谷さん」
「いま、時間あるかい?」
その口ぶりから、ここで彼に出会ったのは偶然ではないのだろうことがうかがえる。新一がフィールドへ出かけていたことを知っていて、タウンへ帰って来るタイミングを見計らって待ち構えていたのだろう。
それどころか、時間はあるかと尋ねられたものの、この分だと新一がこの後に何の予定もないことすら織り込み済みに違いない。もっとも何も予定がないのはその通りで、だからこそ、断ることができない。
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