アクスタサタ伊穏やかな顔をしている猫に視線が引き寄せられる。私の膝の上で、猫がお腹を見せてすやすやと寝息を立てているのだ。少し顔を上げて辺りを見回せば、あっちにもこっちにもいろんな猫たちが室内を闊歩していた。
そう、ここは人間界の猫カフェである。一緒に来た相手であるサタンはというと、猫がたくさんいることについて幸せを噛み締めているらしい。ほんの少し頬を染めて、おもちゃをフリフリとしている。もうデレッデレのメロッメロである。ふふふ、サタンが楽しそうで私も嬉しい。
「おまえはよく寝てるねぇ。初対面の人間にお腹を見せてもいいの?」
自分の膝にいる子に視線を戻し、そっと顎を人差し指で撫でてみることにした。起きるどころか、ゴロゴロと喉を鳴らしながらこちらに擦り寄ってくる始末である。か、かわいい…!そのままふわふわの毛並みを堪能させてもらうことにしよう。どうせ膝の上に乗られているのだ。しばらくここから動くことができないのだろうから。
カシャリという単調な機械音が近くでして思わず顔を上げると、D.D.D.を構えたサタンがいた。
「かわいいな」
「ちょっと。今、私の写真撮ったでしょ!」
「いや?録画もしてるよ」
「エッ、なんで?」
「かわいいから」
なるほど。かわいい。確かに。猫は可愛いよね。サタンのことだし。サタンだし。平常運転だよ。録画を止めたのだろうか。掲げていたD.D.D.をポケットにしまい、私の隣に腰を下ろしてきた。
「ひょっとして、猫が可愛いからとか思ってる?だとしたら半分ハズレだ」
こちらを見上げるようにして絡めてくる視線から目をそらすことができなかった。そのまま流れるように落とされた口づけに、心臓が止まって身動きすら取れなくなる。
「ふふ、かわいいな。もっとする?」