いつかクジラになる夢を見るその日は丁度仕事が溜まっていたのだ。丁度討伐任務が重なって、丁度繁忙期が重なって。積もり積もった仕事はこの身を燻るように降り掛かってくる。今も討伐任務終わりに町に向かって歩いているが眠たくて仕方ない。寝たい。最後に寝たのは何時だったか。
ふと、アカツキワイナリーの前を通りがかる。
「いや、こんな姿、旦那様には見せられないな。」
思わずほくそ笑む。どうせ、やれ効率が悪いだの、これだから騎士団には任せられないとか仏頂面で言うに違いない。会うだけで心労が増えそうだ。
いや待てこれはダメだ。眠たすぎる。一歩が牛のように重くて遅い。このままでは町に着くのが何時になるのか分からない。
もういっそのこと、仮眠をとった方が楽なのではないだろうか。
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