あとがきこのたびは私めの作品、『you ray』を読んで下さりありがとうございました。
最初はあとがきは書かないつもりでしたが、私のまほ晶︎︎ ♀最後の作品ですので、やはり書いて締め括ることに致しました。
この作品を書き始めたのと、離別オンリーを立ち上げたのはほぼ同時でした。
「あ、もう自分はまほ晶を書ききったのかもしれない」、と、そう思ったのは本当にふとした瞬間でした。しかしそれは燃え尽きたような暗い気持ちでなく、「やりきった」という達成感に近いものだったと思います。
「もう潮時か」「いや、だったら退く前に何か大きなことをしてみよう」
と。そうして立ち上げたのが離別オンリーでした。そして自分が主催する以上、自分も最後の小説を載せようと書いたのがこの作品、「you ray」です。
この作品も、離別オンリーも、どちらも完全な自己満足です。
特に離別オンリーは「誰が参加してくれるんだろう?」と、そんな不安がありましたが、たくさんの人が参加して下さり、また、あたたかい言葉をかけて下さりました。
自分はなんてまわりの人間に恵まれているんだと、ただひたすらに有難い気持ちで胸がいっぱいです。
この場でももう一度、オンリーの感謝を申し上げたいと思います。来場して下さった方含め、オンリーに関わってくださった全ての方々、本当にありがとうございました。
話は変わりまして、次に小説の話をしようと思います。
この小説はネタとして眠っていたものでした。最後はどんなものを書こうかと考えたとき、「幽霊になった晶がもう一度賢者をやる」というネタで長編を書こうと決めました。
プロットの時点では五万文字ほどの予想をしていましたが、いざ完成したら八万文字。
最後まで書き終えたときは七万半ばほどだったのですが、七万書いてもまだ展開が早いと感じ、約一万文字追加して完成させました。文字数が多いのに展開が早いと感じたのは、一つ一つのシーンが長いだけであって、シーン自体が少なかったことが原因でした。ファウストと夜中墓で話すシーンや、朝の森でネロと邂逅するシーンは追加で書いたものです。
ユーレイという題名は、お察しの通り幽霊と掛けています。rayは英語で光線とか、太陽の光を意味します。その他に一筋の光、希望の光などの比喩表現でも使われるそうです。
一番書いていて楽しかったシーンは、やはりネロと晶が約束をするところです。
愛は心を変える力があると思っております。ネロが約束をしたのも、晶と出会い、関わり、恋をして、在り方が変わった、という解釈で彼に約束をさせました。
「夢見てるみたいだ。まさかこんな日が来るなんて、思わなかった。俺も変わっちまったな。人生、何があるか分かんねえもんだなぁ」、と書いたのは、それを表現したかったのです。
ここから少し私の話になります。
この小説を書くほんの少し前、私の身近にいた人が亡くなりました。それはあまりにも突然の別れでした。
あの時の衝撃を、私は今でも忘れられません。
ショックのあまり漫画のように人目をはばからず泣き崩れました。
自分の隣で普通に笑っていた人が、ある日突然亡くなる衝撃。私はあの日、身をもって知ったのです。
死という存在は、ほんの一インチの距離で自分の隣にあるのだと。
きっと地球にいる誰もがそうで、私もある日突然命を落とすのかもしれない。
愚かにも私は、隣にいる人は今日も明日も当たり前に生きているのだと、そう信じて疑っていなかったのです。
作中に出した「心だけはどれだけ離れていても、いつまでも繋がっているものなのだから」、というセリフは、私の願望です。
知人を亡くしたあとに、エックスで「故人を思い出すとその人の上には天国で花が降る」という言葉を見て、当時救われた気持ちになったのを今でも覚えています。その言葉のおかげで、私が亡くなった彼女を思い出すたび、彼女の笑顔と同時に「今、貴方のもとに降っているかな」、と、その様子を思い描くのです。
こういうとき、ああ、心が繋がっていたら良いなと、そう願ってやみません。これを書いている今も、彼女のもとに花が降っていればいい。
個人的な話が長くなってしまいましたが、最初に戻ろうと思います。
最初に言った通り、この作品で私のまほ晶︎︎ ♀小説は最後です。
オンリー開催と、この作品の完結。私は、無事にゴール出来ました。
達成感と、感謝の気持ちでいっぱいです。
私は離別が好きです。さようならと、そこで手を離す愛につよく惹かれます。それは私にとってひどくうつくしいものに見え、そしてそんな愛ばかりを書いてきました。
これからはしばらく休み、やろうと思っていたことをやり、また、本を読んだりして小説を書く勉強をしたいと思っております。
またいつか絶対、小説は書きます。
劣等感や色々な葛藤に数え切れないほど苦しんだりもしましたが、何だかんだ言って小説を書くことを自分は楽しんでいて、そして楽しんでいるというその事実こそが、私にとっては嬉しいことなのです。
長いあとがきとなってしまいましたが、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
まほ晶を書くのはこれで最後なので、ここでお別れをする方もいらっしゃるでしょう。さようなら、どうかお体に気をつけてください。
本当にありがとうございました。