書きかけネロ晶︎︎ ♀長編小説導入部分 チン、と音が鼓膜を揺らして、晶は目を覚ますように瞼を開けた。
「────……賢、者さん……?」
一番最初に視界に飛び込んできたのは空色の髪をした男。
晶の背後にはエレベーターの扉。
────元・賢者、真木晶は、ふたたびこの世界に召喚されたのだった。
***
どうして。と。
晶はただ立ち尽くすことしか出来なかった。状況が理解出来ず、呼吸さえも止まっていた。
「賢者様……!? 何故、貴方がここに!?」
大きな声が耳に届き、我に返って彼女は声の主を見た。
「ドラ、モンドさ、ん?」
「そうです、ドラモンドです! 私のことが分かりますか、賢者様!」
ドラモンドは目に涙を浮かべながら胸元に手を添える。彼の隣には、やはりドラモンドと同じような表情をしたクックロビンが立っていた。
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