夢のチケット「八番〜!」
マイクを持った幹事が高らかに言う。マトリフは手に持ったカードを見て、その数字があったので穴を開けた。会場は喜ぶ声や全く関係のない雑談でざわめいている。
忘年会兼クリスマス会と称された飲み会で、余興としてビンゴ大会が催されていた。全員参加ですよとアバンに連れて来られて、食って飲んで程よく酔ったところでビンゴカードを渡された。
「……揃わないものだな」
隣に座った大男が生真面目そうに呟いた。情報システム部のガンガディアだ。ガンガディアは飲み会だというのに正座をしたままでネクタイすら緩めていない。ガンガディアは仕事は出来るが物静かで、マトリフは仕事の話しかしたことがなかった。
マトリフも自分の手のビンゴカードを見る。いくつか穴が空いているものの、てんでバラバラの場所なのでビンゴには程遠かった。
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