禁呪法 アバンがガンガディアの姿を見たのは久しぶりだった。深い森の奥の、誰からも忘れられたような遺跡に彼はいた。その姿は以前と変わらないように見える。
「お久しぶりですね」
ガンガディアと会ったのは二十年ぶりだろうか。最後に会ったのはマトリフを見送った日だ。みんなが泣きながら別れを惜しむ中で、ガンガディアは毅然としていた。最後までマトリフと共に過ごしたのだから、誰よりもその喪失を感じていただろう。しかし彼は最後の最後まで涙を流さず、その墓をじっと見つめていた。
「勇者か。久しいな」
「ここに住んでいたのですか。実は興味深い文献を読んで……」
アバンは各地の遺跡調査を行っていた。この遺跡を記した書物を手に入れて、調べに来たのだ。
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