大晦日と正月の朝 大掃除、といってもガンガディアが普段からマメに掃除をしているので、大して汚れてもいない部屋をマトリフは見渡す。申し訳程度に埃取りモップを手にテレビの裏などを覗き込んでみるが、そこは掃除の必要がないほどにきれいだった。
マトリフは一瞬で掃除をする気を無くしてコタツへと入り込む。蜜柑も電気ポットも手の届く位置にあるし、ここに座れば数時間は動かないことになる。
「私はもう行くが、大丈夫かね」
コートを着たガンガディアが言った。マトリフは軽く手を振って早く行けと示す。ガンガディアは元魔王軍連中の年越しパーティーに呼ばれているので、もう出かける時間だった。
「オレも夕方には師匠のとこに行くから気にすんな」
いつもは二人で年越しをするが、今年はガンガディアがいないのでマトリフは師であるバルゴートのところへ行く予定だった。
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