手「ちょっと手ぇ貸してくれ」
部屋の片付けをしていたマトリフに呼ばれて、ガンガディアは物置き部屋へと向かった。そこはマトリフの魔法道具などが無秩序に放り込まれており、足の踏み場もない。
「マトリフ?」
マトリフは魔法道具に埋もれているように見えた。手招きされたので魔法道具をかき分けながら進む。
「手ぇ出してくれ」
言われてガンガディアは手のひらを上に向けて差し出す。するとマトリフはその手にいくつかの魔法道具を乗せていった。発掘した道具を運び出したかったのだろう。
「もう片方の手もくれ」
「そんなに大荷物なのかね」
空いてる手を差し出すと、その手に乗ったのはマトリフだった。
「よし、いいぜ」
ガンガディアは左手に魔法道具を、右手にはマトリフを乗せて立ち上がる。どちらも大して重くなく、ガンガディアは部屋を出てからマトリフを下ろした。
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