リハビリ柔らかな紙を指先で撫でながら、綺麗に羅列された活字をゆっくりと目で追う。言葉を咀嚼して味わい、自分なりの落とし所を見つけて嚥下する。そうしてゆっくりゆっくりと読み進めていくディルックの肩に、そっと乗せられる愛おしい重み。
視線を上げて滑らかな髪へ頬をよせる。
「読み終わった?」
「……まだ」
膝の上に置かれた本の間から、ガイアのお気に入りの栞が顔を出している。しかしもう読むつもりは無いのか、その本もすぐに横へ寄せられてしまう。
ちらりちらりと伺うようにディルックを見上げる星屑の瞳に、首を傾げて見せれば、ガイアが迷うように右へ左へと視線を彷徨わせる。
「……まだ、読むだろ」
ぽつりと呟かれた言葉にディルックは目を瞬かせて、すぐに口元を緩める。疲れたのかと思ったが、どうやら違ったらしい。
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