暗闇ふと目を覚した時、あたりは暗闇に包まれていた。
習慣的に隣へと手を伸ばしたが、そこはもうもぬけの殻でベッドはすでに冷たくなっている。昨晩、帰ってきた瞬間から、も連れ合い、通常の人よりもずっと体力も精神力もあるはずの游惑が意識を手放す寸前に優しくまぶたに落ちたキスはまだ游惑の体に残っている。
今日はお互い休みのはずで、訓練もない。事務的な手続きはお互い死線をくぐり抜けた友人達が終わらせているはずで、今日は一日二人きりだと言っていたのは男朋友のはずだったのに。
「……秦究?」
微かな声でも反応する男は、やはりここにいないらしい。
游惑はこの暗闇に眉を顰め、手元のライトに手を伸ばした。しかし、灯りがつくことは無い。
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