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    ミズアワ

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    ミズアワ

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    翡翠の坂伴ワンドロ・ワンライに上げたもの

    十一月の記念日について話す坂伴、タイトルがヲチみたいな感じです。
    ※現パロ
    ※少々修正済

    5・10「いい尻の日だったそうだ」
     はぁ?と返すと、坂ノ上はこれだ。とスマホの画面を見せてきた。そこには、カレンダーが表示され、なにやら記念日の謂れなどを書かれた情報サイトのようだった。
    「なにしょうもないこと調べてんですか」
     伴はシンクのカウンター越しにそれを見せてきた坂ノ上に呆れて眉間を狭めた。
    「今日はいい夫婦の日だろう。で、ニュース記事を読んでいたらあった」
    「はぁ。いい夫婦ねぇ」
     俺とあんた、夫婦じゃねぇでしょう。と思いながら、伴は食器を泡だらけのスポンジで磨く。
    「あんた、そんな語呂合わせみたいなの好きですよね。あ、オヤジだからですか?」
    「言葉遊びや韻踏みだよ。なんか、こう語感が合うと嬉しくなるだろう」
    「……別に」
     カランを上げて、水で食器をすすぎながら、伴は頭を振る。洗い終えた食器を食器乾燥機に並べていく。洗浄機能は着いているが、伴はなんだか信用できず洗う行為だけは手作業で行っている。
    「ふむ。まぁ、俺も若い頃はそんなこと考えもせんかったからな。上司のオヤジギャグには正直引いていた」
     伴の喰いつきが悪いのに首を傾げながら、坂ノ上はソファーに座る。
    「あんた、おんなじようなこと言ってますよ」
    「でも、お前、笑うだろう」
     きょとんとした坂ノ上は首を傾げ、伴は口ごもってしまった。
     乾燥機の電源ボタンを押し、乾燥時間を設定し、開始ボタンを押す。ごぉおおと稼働する機械を見届け、伴は水滴を拭き上げ台所の電気を消す。ソファーに寄り、背もたれを跨いで坂ノ上の隣に座ると「お行儀悪いぞ~、ドラ猫くん」と坂ノ上は笑う。この男はどうであれ、伴が隣にやってくるだけで嬉しいのだ。
     ポケットからスマホを出した伴は検索エンジンで『11月 いい日 記念日』と検索をかける。すぐに検索結果は現れ、伴は適当な情報サイトを開く。十一月の『1・1』で『いい』が由来だそうで、いろんな日がある。そういえば『いい肉の日』ってのがあったが、あれはここからかと伴は納得する。
     坂ノ上の言った『いい尻の日』は十一月四日だったそうで、もう二週間以上前になる。
    「いい尻の日とか言ってくるから、あんた、尻でも揉んでくるのかと思いました」
     隣を見ると、坂ノ上は涼しい顔で「流石に洗い物中だったからな。邪魔しちゃ悪い」と口髭を揉んだ。
    「は?この間、料理するなら裸エプロンでしてくれって言ったの誰でしたっけ」
    「あれはシチュエーションが違うだろ」
    「あぶねーんすよ。火傷するでしょう」
    「したら俺が舐めてやる」
    「ばい菌入るでしょ。薬にしてください」
     散々、この体は坂ノ上に舐られているが、伴は拒む。
     それにしても、ここまで種々多様な『いい●●な日』を考えるものだ。かなり無理のある語呂合わせもあるが、記念日にするくらいなら制定した人々の思い入れもひとしおなのだろう。
    「へぇ、いいにゃんにゃんの日でもあるんですね」
     伴はいい夫婦の日である今日、十一月二十二日の別の記念日を見つける。今日だけでもかなりの記念日が制定されている。
    「お。ドラ猫くんにはもってこいの日じゃないか」
     坂ノ上はほくほくして頬を緩める。なにがおもしろいのか。伴には皆目見当つかない。伴はふっと息を吐き、更地の眉山を持ち上げて笑う。
    「あんた、『いい伴の日』とか言ったらぶっ飛ばしますからね」
    「『いい伴の日』?そんなの毎日だろう」
    「へ」
    「お前がいると、毎日楽しいからな。わざわざ記念日なんかいらんだろう。あ、でもいい尻の日は愛でたかったな。お前の可愛い尻を」
     臆面もなく、さらさら言いのける坂ノ上に伴は瞬きをする。
    「それにな、語呂合わせが合わんのだ。8・8・10だろう」
    「なにがですか」
    「勇人(はやと)で8・8・10」
     坂ノ上は人差し指で空書きしてみせる。伴は一瞬何を言われたか分からず首を傾げ、それが自分の名前だと気づき、かぁっと頬が熱くなった。普段、坂ノ上は伴を名前で呼ばない。周囲でも『伴』という名字が呼び名や愛称となるので、こうしてまじまじと名前を呼ばれたのは久しかった。
    「数字四つで暗証番号にはいいからな。あ、何かあったら俺のカードの暗証番号はこれだから覚えておけよ」
     坂ノ上はははと笑うが、隣で両耳を指先で隠す伴に「どうした?」と聞く。
    「はずかしーヤツ……」
     小さく呟いた伴に、坂ノ上はにへらぁと口の輪郭を緩めると、身を乗り出して伴の指先ごしに耳殻に唇を寄せる。
    「はやと」
     ぽそ。と呟くと、んぅと伴の肩が跳ねてずりずりと坂ノ上とは逆のひじ掛けへと体を寄せていく。恥ずかしがる姿に坂ノ上はますますにやけ面で伴を見つめる。
    「ぜってー、他の奴に言わんでくださいよ」
    「んふふ。こんなこと、お前にしか言わんよ」
     腰を上げ、ぐっと伴との距離を詰めた坂ノ上に伴は、ねぇ。と呟き、空書きを三文字見せた。
    「コージなら、暗証番号になりませんね」
    「惜しいな。はやとの10とお揃いだが」
     気難しそうに眉間を狭めた坂ノ上に「しょうもねーっすね」と伴はんふっと短く笑った。



    「十一月三十日もいいお尻の日らしいぞ。伴」
    「んへっ。いい肉の日次第ですね」
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