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    ようの箱

    @youkd096

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    ようの箱

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    🍺🍕の🍕が5章の瀕死状態からタイムリープしてしまう話の導入だけ
    先を書き切る自信はない

    その時だけはほとんど自分のモノでは無かった体も正しく言うことをきいてくれた。もっと早くにこうなっていてくれたらと思わなくもないが今更詮無きことだと諦めた

    無防備な体を突き飛ばし庇うように前に出る
    瞬間、感じたのは熱。そして次に痛みと意識が引きずり込まれるような感覚だった
    「ディノ!?」
    「キース……無事、か……?」
    庇った相手の声が聞こえたことに少しだけ安心した
    「無事かって……お前……」
    声を聞く限り大きい怪我の心配も無さそうだ
    よかった。どうやら自分はちゃんと彼を守れたようだ。本当によかった
    「ディノ……」
    あのシリウスでさえ僅かに驚いているような気配があった。それは自分が勝手に動いた驚きかあの攻撃をくらってまだ生きていることにかはたまた別の何かかは分からない

    少し目線を下げるだけで夥しい量の赤色が地面を汚している。それを見ただけで自分の残り時間がわずかな事を悟った
    ならばやるべきことは1つだ
    「シリウス……。仲間には、手を出すな……」
    先程の攻撃を繰り出した相手に何をと思われるかもしれない。けれどもう戦う力はないうえに力の差は歴然だった。であれば情けなくとも話をして見逃して貰うしかない。自分を追ってきてくれた皆を死なせるなんてことはしたくなかったから
    「俺の大事な……友だちなんだ……」
    正直言葉を発する度に自分から何かが抜け落ちていく感覚が増した。今意識を保っているのはほとんど意地だ
    こういうのを火事場の馬鹿力と言うのだったっけと、昔自分に教えてくれた親友を見る余裕もない。なんだか違う気もするがきっともう答え合わせは出来ないだろう
    「………」
    「っ…頼む……」
    なんとか頼みを伝えた所で限界が来てしまった
    もう指先1つ動かすことが出来ない
    「ディ──!──し………ろ!」
    キースが何か言っている。それは必死で、何か返してあげたいと思うような声だ
    けど、ごめん返事は出来そうにないや

    ギリギリの意識の糸を繋ぎ止めて聞いているとどうやらシリウスはこちらの話にのってくれたようだ
    彼が何を目的としてイクリプスにいるのか自分を洗脳していたのか何も分からないし許すことも出来そうにない。けれど気まぐれでもこの場から離れてくれることには感謝したい
    今の自分の様子に動揺した仲間を殺すなど彼にはきっと造作もないだろうから

    「しっ…りし…ディ…」
    この声はブラッドだろうか?親友の声も分からなくなってきていよいよ終わりが近い
    「……ノ…お……!目………ろ!」
    こちらはキース…だろうか?
    2人とも声をかけてくれている。でも何を言っているのかは分からない
    ごめん、せっかく助けに来てくれたのに。みんなが無事でよかった
    それだけ考えて眠りに落ちるように意識が途絶えた

    *:.。..。.。*:.。..。.。

    昔おばあちゃんに読んでもらった童話の少女のように暗い穴の中をゆっくりと落ちていく
    最中、走馬灯のように今まで過ごしてきた思い出が流れ出す。彼らとアカデミーで出会い共に過ごした楽しい記憶とヒーローになってからの共同生活や意見の違いでの喧嘩など次々に浮かんでは消えていく。こうして改めて見ると自分が胸を張ってディノ・アルバーニだと言える時間は人生の半分程しか無かったけれどとても暖かい時間だったと思えた。
    彼らと出会えて本当によかった
    感謝と同時に告げることは無かった気持ちも次々に溢れてくる

    仕方ないなと笑うその顔が好きだ

    大変な思いをしてきたことが分かる荒れた、それでいて暖かい手が好きだ

    作ってくれた料理の1つ1つが好きだ

    猫のようにだらしなく寝そべる姿が好きだ

    誰よりも優しいのに自分にはあまり優しく出来ない不器用な所が好きだ

    サボってるのを迎えに行ったり朝起こしたり自分が行くと面倒そうにけれど少し喜ぶ姿が好きだ

    いつも誰よりも自分をわかってくれている所が好きだ

    記憶がない俺のために毎日のように会いに来てくれる優しさや俺が利用されていると知った時に怒ってくれた情に厚いところに救われた

    自分はつくづく彼の、キースのことが大好きらしい。こんな事になるならば怖がらずに気持ちだけでも伝えておくべきだった。
    そして──最期くらい笑った顔が見たかった

    満足だと納得させようとした気持ちに微かな未練が生まれたところで再び意識は途切れた
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