「……………」
自分の体が結構デカいにも関わらず両腕をのばしてもなお余白有り余るこのでかいベットの本来の持ち主はついしがたこの家から姿を消したばかりだ。
緊急任務、という、特級呪術師に腐るほど舞い込んでくる任務の山。ヘラヘラしながらも己の任務の何十倍も多数の呪霊をバンバン払っているのを思うと頭が上がらない。
が、それとこれとは別として。
「…デカい、寒い」
寂しい。
自分勝手な欲望が無尽蔵に湧いて己の体に巣食う。どうしようも無いことにもんもんと無い頭を使うならさっさと寝て明日元気に五条を迎えた方がイイに決まっているのだ。
が、ままならないのが人間である
「………あ~~~あ」
いつも五条と取り合いをする毛布を自分の体にまきつけそのまま膝を抱えるように丸くなる。
五条の匂いが強くなった。が、肝心の本人がいないので物足りなさが増したきがした。うう、と何にもならない声を出すしかない。
せっかく、今日はずっと一緒だ! と思ったのに。ずっと五条の体温を直に感じながらテレビをみてあーだこーだどうでもいいことで笑ってご飯も一緒に作って「美味しいね」て言い合いながら食べたかったし、お風呂だって五条の家はビックサイズで二人で入ろうが無問題だからワイワイ言いながら茹で上がるまで一緒に入りたかった。
夜だって、こんなデカイベットなのに寮の俺の部屋にあるセマイベットで寝る時と同じくらい、くっついてない所がないくらいにぎゅっとして欲しかった。いつもはうるさいくらいデカい声が夜の鎮まった空気とともに、穏やかに囁かれるあの時が好きだったから、今夜もそうして話していたかった。
だというのに、ココ最近はずっとこんなかんじだ。
今日に至っては顔を少し合わせただけで任務に行ってしまった。
寂しさに耐え切れそうになく、もう帰ろうか。幸いまだ寝るには少し早い時間だった。今から帰れば伏黒はまだ起きているのではないだろうか、ああ見えてわりと夜更かしする時はするタイプなので。
のそ、とベットからおり、スウェットを着替えるかどうか悩み、まあいいか、とそのまま着替えの入ったカバンを方に引っ提げ玄関を目指す。途中五条に書き置きを記し、よし、と部屋をぐるっと見渡し、再度玄関を目指す。
靴を履く手前、玄関が開いた
「!!」
「悠仁~ただいま~…て、あれ、どうしたの?」
「…あ、いや、コンビニいこっかなって」
「そうなの? にしては、泊まり荷物全部もってるから。」
「えと…」
まあいいや、と言う言葉と共に長い腕で悠仁を捉えそのまま抱きしめた
あ~~~~悠仁だ~~~~
五条も寂しく思ってくれていたのだろうか、嬉しさが胸いっぱいになりたまらず五条の背中に腕を回す
胸の位置におでこを押し付ける、息を吸うと香水と若干の汗の匂いが入り交じった五条の香りが鼻腔をくすぐる
もっと、と頭の中がいっぱいになった。よりピッタリくっつくように腕に力を込める。
その時ふと、思い出して「あ」とおもった
「ごはるたべる?」
「食べるお腹すいた」
そう書置だ。あそこには帰る旨を記載している、先程嘘を着いた手前見られたら問いつめられそうだ。今は余計なことはなしにして起きたい
「おっけー、用意するから手洗いうがいしてきて」
「ぼくあれだけどね、バリアで弾いてるけどね」
「ハイハイ行った行った」
※
あせった。荷物をまとめて書き置きをして家を出ていこうとするなんて。
一人にしすぎたかな、と反省してすぐさま悠仁のいる家に飛んだ。
玄関を開けるとぽかん、とした悠仁がいた。
僕が帰ってきたことをじわじわと理解したのか悠仁の顔には喜びの色をうかびはじめた
「悠仁~ただいま~…て、あれ、どうしたの?」
「…あ、いや、コンビニいこっかなって」
「そうなの? にしては、泊まり荷物全部もってるから。」
「えと…」
これが嘘ということは見ていたので当然しっているが、仮に知らなくてもこれが嘘だとわかるくらいに、悠仁は嘘が下手だ
ただまあ知らないふりをしてあげた。だって今回はちょっとやりすぎたと思ったからだ。普段なら嘘をつこうもんなら徹底的にはかすところである。
まあいいや、とその場を収めるのに都合のいい言葉を声に出しながら悠仁を自分に引き寄せそのまま腕の中に収める。自分はかなり身長的に大きいし鍛えてるだけあって体格もそれなりなのだ、だから悠仁ぐらいしっかりした体のほうがしっくり馴染む。悠仁も僕に抱きしめられることに安心感を覚えているだろう、すぐにちょうどいい場所をみつけ身体をあずけてくる。ぎゅっと、僕じゃなかったら痛いだろうくらいの力を腕に込めて抱き締め返してくれた。
そして一瞬身体を硬直させた。
「ご飯たべる?」
書き置きのことを思い出したのだろう、顔に少しの焦っている。ほんとにわかりやすいなぁ
口角が変に上がってしまいそうだ。
「食べるお腹空いた」
意地悪して先に見てやろうかな、とも考えたが、今日はやりすぎてしまったこをを思い出し悠仁の指示通り大人しく洗面所に向かう。
最初は悲しい思いをさせることに罪悪感を覚えていた。いつしか、それだけゆうじに思ってもらえているのだという充足感が胸を占めるようになった。
悠仁はあれで割と教育されている節がある、帰宅したらまず手洗いうがいをしろと口酸っぱく言われるのだ。実家でもそこまでとやかく言われたことないぞ、というくらい言ってくる。
最初、罪悪感を抱えていた時は手を洗ってる時は禊かなんかだと思いながら懇切丁寧に菌と共に罪悪感を流していた。おかげであの時は少しばかり手が荒れて居たのだ。
ただ今は昔、一仕事終える前の準備でしか無くなった。
これが終わったら、思う存分、可愛がれる。そしたら悠仁はもっと僕と離れてる時が恋しくなる、不毛なスパイラルだが如何せん、辞められないのだ。悠仁ってシャブかなんか? 怖いなァ