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    黒凪 傀

    @kuronagi1014
    マレシル中心にシル右書き手。バスターズとかも書いてます。ここでは俳優パロ連載したい。

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    黒凪 傀

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    εïз登録記念とヴィルシル好きって言ってくださった方が居たので。
    前に書いたマイナーCP好きって言ってもらえるのめちゃ嬉しい。何故支部に私しかいないんだ…。
    というわけで明日発行予定の本の特別公開はポムフィオーレ寮です。シリアス展開。

    試し読みεïз用特別編<ポムフィオーレ><ポムフィオーレ>

    喉が、渇く。
    残る感覚はそれだけ。それすら通り越し本能のままに曝け出せば、きっとこの耐えがたいまでの渇きは収まるのだろう。
    半分に欠けた視界の中、松明がゆらりと照らす古城を歩く。
    逃げて。と思うと同時に、食いたいと、思ってしまう。
    背後で騒ぐ蝙蝠たちは、その抵抗を嘲笑いながら彼の陥落をただひたすらに待ち望んでいた。
    喉が、渇いて。それを潤すものがこの先にあるのを知っている。
    紅い色。生命の音。それが、どれだけ甘美なのか、この喉を、魂を、満たすのか。
    執着点は、巨大な扉の玉座の間だった。
    鋭く尖ったように見える爪が、突き立てられる。
    軽く押しただけなのに巨大な扉は簡単に軋む音を立て、その中に逃げ込んだ今宵の犠牲者たちの姿を晒した。
    数人の学生たち。ひと際小柄な少女にも見える淡い紫髪の少年が、扉を開けた人物の凄惨な姿を見て顔色を青ざめさせた。
    「ヴィル、サン…!!?」
    ―――ああ、わかってる。見る影もないわよね。
    ヴィルの片目は潰れ、顔の半分は焼け爛れていた。
    残る左半分が元のまま美しいからこそ、傷痕は一層凄絶に見える。
    異界に取り込まれ、自分たちに襲い掛かってきた敵が吸血鬼だと確信したヴィルは即座に対処に動いた。
    伝承にある吸血鬼の弱点は、ニンニク、十字架、陽の光。そして銀だ。
    ヴィルの先端だけ染めた髪を結い上げていた装身具は、誕生日にルークからプレゼントされた銀の棒状の飾りだった。
    東国のものだというそれは先端に繊細な花を模り、春のほんの数日だけ咲いてはひらひらとハート形の花びらを散らす様は大層美しいのだとあの副寮長を更に饒舌に語らせた。
    自分だけが対抗手段を持っているからと、ヴィルは寮生たちを逃がし単身その場で戦うことを決めた。
    死ぬ気だったわけではない。それでも、魔法士になるというのは、そういうことでもあるのだと。
    三年ともなれば自分たちが一般人よりも遥かに短命で終わる可能性が高いことなんてわかりきっていた。
    数日で咲き誇り散り際さえ陶酔するまでに美しい、東国の花。
    それに君を重ねるために贈ったわけではないと、あの副寮長は珍しく怒るのだろうけれど。
    ……死にたかったわけではない。結果が、そうなってしまうだけで。
    銀すら効かない、他の大多数とは違う吸血鬼の長。
    闇から生じ、太陽も十字架も銀も恐れない、原初の魔物。
    その牙が首筋の血管に突き刺さり、終わりを告げた。
    それでも、ヴィルにはわかっていたのだ。
    完全な眷属とするには、血を吸われると同時に吸血鬼の血液を摂取しなくてはならない。
    それを拒み続ければ、怪物として蘇ることなど無いと。
    だから、闇から生じた怪物たちは、自分たちの招待を拒んだ生意気な獲物に最も残酷な手段を取った。
    ヴィルが命よりも大切にしている顔を、焼いたのだ。
    断末魔の叫びの最中に放り込まれた一滴の血液。
    それは、こんな姿に、こんな存在になりながらもヴィルを死なせてはくれなかった。
    まだ正気はある。けれどそれが、混ざりこんだ毒のような吸血鬼の血に汚染されていくのを理解している。
    屈してしまえばその美しい顔も治ると、おぞましくも玲瓏と響く声の囁きが今でもヴィルの耳の中でこだましている。
    けれどその行為は、寮生たちを犠牲として生き延びる選択は、ヴィルを世界で一番醜いものに変えるから。
    彼はまだ抗っている。正気を失いかけながらも。
    「………ルーク」
    静かに呼んだ名に、その言わんとするところを察しているのだろう副寮長が眉を寄せた。
    「約束、したの。アタシが、堕ちるまで、…誰も、襲わない、って」
    原初の魔物は神代の妖精や悪魔と酷似する性質を持つ。彼らは、契約を交わせばそれに偽りを述べることができない。
    だから、ヴィルはゲームを持ちかけた。
    ヴィルが正気で居る限り、寮生たちを傷付けないと。
    普通ならばそれは無理だ。吸血鬼、それも最初の種族で真祖と呼ばれる者に眷属にされた人間が抗いきれるはずもない。
    今さざめき笑いながらこの催しを愉しむ怪物たちの中にも、かつて大切な者をその手で屠り食い千切った愉悦に目を細めるものたちが居た。
    「だから、…今の、内に。アタシを、撃ちなさい」
    狩人は、魔除けを身に着けることが多い。
    それは、黒曜石の矢じりや銀の弾丸。そしてルークの場合は、純銀の先端を持つ一本の矢だった。
    「ヴィル…。ああ、毒の君っ、そんな、こと」
    「アンタの知ってる、ヴィル・シェーンハイトは、もう、死んだのっっ!」
    掠れた悲痛な叫びはルークの息を詰まらせた。
    まだ心臓の音はする。体温も残っている。けれど。それもあと少しだ。
    毒が心臓にまで回ってしまえば、もう、戻れない。
    けれどその前にヴィルを殺せば、彼は『正気のまま』永遠になる。
    下っ端の吸血鬼がその契約を守るかはわからないが、真祖が戦いに加わらなければ少しだけ、生き延びる道は見えるだろう。
    「……返すわ、これ」
    焼け爛れる手に持ち続けていた銀の簪を、放り投げる。
    ずっと続いた激痛は、ヴィルがもう怪物なのだと何よりも彼に突き付ける。
    唯一の武器であるそれは、泣きそうな顔のエペルの手に静かに収まった。
    「まいね! そっだことせばまねって!! あぎらめんなんてふんじゃまわりべヴィルさ!!」
    駆けだそうとしたエペルを、寮生たちが必死に押さえる。
    叫んだその声に含まれた想いを何となく悟って、ヴィルは少しだけ笑った。
    「……諦めたわけじゃ、ないわ。選び取ったの」
    静かに背筋を伸ばして、前を向いて。凛と響く声で彼は寮長としての最期の命令を下す。
    「撃ちなさいルーク…っ!!!!」
    菫色の瞳の中に浮かぶ不吉な紅の輝きが、時間の短さを告げていた。
    「すまない、ヴィルっ!」
    引き絞られた弦。しなる弓。唯一魔物を滅ぼせるとされる銀の矢が、真っ直ぐに、躊躇いなく、一筋の閃光を描く。
    「やめてぇぇえええーーーーーーー!!!!!」
    先輩たちに押さえつけられたエペルの叫びには、その必殺の一撃を止める力などない。
    誰もが、泣いていた。己の無力さに、どうしようもない現実に。
    お話のようなハッピーエンドなど訪れない。
    誰もが、そう、思っていた。
    それは天高くから舞い降りたように見えた。遅れてパラパラと、周囲にステンドグラスだった虹色の欠片が降り注ぐ。
    脱ぎ捨てた上着を翻し、彼はヴィルの心臓を穿つはずだった銀の矢を絡め取る。
    美しい魔除けの銀そのもののような髪を揺らして。
    「っ、アンタ何を…!」
    生命を救われたことに対するヴィルの抗議の声を黙殺し、シルバーは手のひらに広げた護符をその場で展開する。
    玉座の間は異界の怪物を退ける結界と化し、太陽を思わせる淡いオレンジの輝きでその場を照らした。
    「ヴィル先輩すまない。少しじっとしていてくれ」
    「じっと、って。アンタ状況がわかって」
    「吸血鬼の血は毒と同じだ。血液から分離させて、浄化する」
    激昂するヴィルの言葉を遮り、シルバーのごつごつした手が火傷に覆われた頬を包む。
    「大丈夫だ」
    少しだけ笑ったオーロラ色の瞳が閉じられる。ゆるりと他人の魔力が全身を覆っていく感覚。けれどそこに嫌悪はない。
    ふわふわと生まれる前のどこかの空間で漂っているような、優しい腕に抱きしめられているような。そんな不思議な温かさが身の内の冷たさを消していく。
    目を閉じて魔力を受け入れるままに添わせる。かつてマレウスが老いた自分を救ってくれた時にも同じような温かさを感じた。
    この二人は、正反対に見えながら酷く似ていると、そんなことを思う。
    「ヴィルサン、顔…」
    呆然としたエペルの声に目を開ければ、世界は、欠けていなかった。
    澄んだ菫色の両目でぱちりと瞬きをして、ヴィルはシルバーの手が離れた自分の顔をそっと指先で擦ってみる。
    手のひらにも、顔にも、傷があった痕跡は残っていなかった。
    じわり、と目の奥に熱が集う。安堵も困惑も歓喜も様々な感情がごちゃ混ぜになって、己の内にあるそれが何なのかも理解できない。
    けれど多分緩んでしまう表情を見せたくなくて、ヴィルは顔を手で覆う。
    「ちょっと待って今見ないで。多分、凄い変な顔してるわ」
    まだ危機は去っていないのに、何故こんなにも安心できるのか。冷静に、と頭の中で必死に繰り返すヴィルの手を取り、シルバーは彼の顔を至近距離で覗き込む。
    傷が残らなかったことに心底ホッとしたのだろうオーロラ色の瞳が、わずかに笑んだ。
    「あなたは、綺麗だ」
    変な顔、という言葉を否定したつもりなのだろう。鏡を突き付けてやろうかしらと思うと同時に、ヴィルは少し灯った頬の熱さをごまかすようにジト目でシルバーを睨む。
    「…アンタそれ絶対不特定多数に言うんじゃないわよ」
    きょと、と小首を傾げるシルバーだが、主に婚約者であるマレウス・ドラコニアを中心とした修羅場及び誤解する者が大量発生する可能性が高いのできっちりと釘を刺す。
    「ヴィル先輩、皆と下がっていてくれ。後は俺に任せてほしい」
    結界を張っている護符と未使用の護符をヴィルに渡し、結界の向こうで殺気を剥き出しにしている吸血鬼の群れへとシルバーは向き直る。
    「アタシの治癒で、契約は無効になったわ。…アイツは真祖よ」
    「ああ」
    大丈夫、と。さっき言ったばかりの音と何ら変わりのない穏やかな声。
    異形のみ通さない結界を潜り抜け、シルバーは武器を両手に構えると光の魔力を宿らせる。
    「…加減はしない」
    極北の澄んだ空気を思わせる声が、荘厳なる城を騒がせる魔物たちのざわめきにも負けずに響く。
    「ヴィル先輩の最も大切なものを敢えて貶めたお前たちには、慈悲は必要ない」
    闇に生きる不死の化け物を唯一滅ぼすことのできる夜明けを宿す瞳が、冷たい刃を思わせる鋭さを灯した。
    「その身で、贖え」



    102番目のポムモブ
    誰か助けてくれ!!!!

    103番目のイグニモブ
    どうしたんでござるの!?
    え、とうとう犠牲者出た…?

    104番目のポムモブ
    何か同級生が突然『かいしゃくちがい』とか叫んで蹲って泣き始めた
    全員助かったのに何で突然世界の終わりみたいに号泣してるんだお前は

    105番目のハーツモブ
    (察し)

    106番目のイグニモブ
    それ治らぬ病なので放っといてあげてもろて
    っていうか一般人の前では!!! 隠して!!!!!
    最近オープンになりつつありますけども知らぬ人は知らないでいい知識!!!!

    107番目のサバナモブ
    多分そいつオレのダチ…。
    姫騎士様に何かあった?

    108番目のポムモブ
    うちの寮長が顔焼かれて、姫騎士様物凄い本気で怒ってる…
    その前に回復魔法掛けて全快させて「あなたは、綺麗だ」って王子様なこと言ったけども
    うちの寮生のほぼ全員「はわわわわ」って赤面してるけども

    109番目のイグニモブ
    乙女ゲーの王道メインキャラかな…
    そして姫騎士様の顔面もどこの二次元かレベルでお綺麗ですがそれは

    110番目のサバナモブ
    ポム寮長は攻略する側だと思ってたらまさかのヒロイン展開?
    ってか顔焼かれたって!!!?

    111番目のポムモブ
    顔の右半分火傷で大変なことになってた…。吸血鬼の眷属になれば治ったのかもしれないけど。
    銀が回復魔法掛けてくれたから今は傷一つ無く!!!! 復活!!!!!!!
    っていうかお肌の調子物凄く良くなってるかも、ってちょっとぽつりと言った寮長。

    112番目のオクタモブ
    回復魔法って肌の調子も整えるの???
    ニキビとか肌荒れとか確かにダメージと言えばダメージなのかもだけども。

    113番目のイグニモブ
    治されたとはいえ顔焼かれた後に肌の調子気に出来るポム寮長何なの

    114番目のポムモブ
    副寮長も、矢を上着脱いでそれ振り回して防いだ銀見て
    「なるほど。一点に殺傷力を宿す矢は、盾よりも布地で方向を変え勢いを殺してしまう方が防御としては対策しやすい。ムッシュー・お寝坊の師は武器の特性をかなり把握している方らしいね」
    とか言い出してるんだけども
    布で矢が防げるとかこの寮に居て得る知識とは思わなかったよ

    115番目のハーツモブ
    銀本職の護衛だからな…
    つか、ディアソ寮普通に襲撃とかあっても何らおかしくないから
    あそこ休み時間とか週末に戦闘訓練してんだろ?

    116番目のスカラ寮長
    シ、銀はすごいよなー!
    文房具とかも即席で武器にしちまうんだぜ!

    117番目のサバナモブ
    即席で武器が必要になる状況は一般人にはねーんだわ

    118番目のイグニモブ
    しかし今巻き込まれている大多数の一般人というこの現実

    119番目のポムモブ
    吸血鬼の首領相手に銀が物凄い激しい戦い繰り広げてる
    めちゃスタイリッシュに敵を殲滅させようとしてるんだけど
    いや、俺の目がおかしいのかもしれないんだけども
    ……ペンライト持ってないか?

    120番目のハーツモブ
    大丈夫だそれは間違いじゃない(遠い目)

    121番目のオクタモブ
    折角忘れてシリアス展開に入れると思ったのに。

    122番目のポムモブ
    同級生が突然泣きやんだと思ったら『せめすぎてうけ…?』とか言いだしたんだが

    123番目のイグニモブ
    ナマモノジャンルなので!!!!!! お口チャックして!!!!!!
    ※ナマモノとは実在の人物のことである

    124番目のオクタモブ
    攻めすぎては駄目なんです???

    125番目のスカラ寮長
    ゲームの話か?

    126番目の>>1
    お願いだからあなた方はそのまま綺麗でいて…。
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