勇者の夢 この勇者には、ヴェルナーという、とても大切な貴族の親友がいて、ことある毎に、その親友の話ばかりしてくる。
「貴族だけど、平民の僕に対しても気さくに接してくれて、すごく頭が良くて、強くて、格好良いんだ。王都の学園に通っている時も何度も助けてくれた。彼がいなかったら、ここに僕はいない」
目をキラキラさせながら、大好きな親友のことを褒めまくる。
本当は一緒に旅をしたかったけど、「俺の力量では、お前の足手まといになる」と断られたと肩を落としていた。
「そのかわり、お前が戻る場所は俺が守る。だからお前は心置きなく旅に出ろ」
そう言って勇者を送り出し、国に残ったそうだ。
「僕の夢はね、魔王を倒して国に帰って、平和になった世界で、またヴェルナーと一緒に王都の学園に通うことなんだ」
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