「先生、いいよな」
体当たりに近い勢いでベッドに押し倒される。煙草の香りがいつもより強い。
「俺の方が自由がきくから」といつも休みを合わせてくれるが、その分急に仕事が入ることもあるのだろう。紅い瞳は微睡を隠しきれていない。
その背に手を伸ばし少し力を入れると抵抗なく体が落ちてきた。そのまま抱きしめて、ピアスだらけの耳にゆっくり語りかける。
「左馬刻くん、私は逃げないよ。今は、おやすみ」
「けどよ、先生…」
「明日は一日休みだから。今は寝てしまおう」
「ん……明日、覚悟しとけよ…」
左馬刻くんの体がどんどん重くなっていく。起こさないように慎重に、布団を引き寄せ互いにかける。
私も早く寝てしまおう。
明日は朝から、紅い瞳がギラついているはずだから。