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    marushu_tw

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    DX歳下攻めっていいなガチャ(https://odaibako.net/gacha/5396)さんのお題で書いた左寂

    #左寂
    leftSilence

    持たされている合鍵でふらりと家に上がり込んだ左馬刻は、ノートパソコンを抱えた寂雷に出迎えられた。これからリモートで講演会に出るんだ、と眉を下げた寂雷に待ってる、と返すと、公開だから隣の部屋に居てくれるのは問題ないよ、とリビングに通される。セッティングを少し手伝い打ち合わせが始まったところでリビングに引っ込み、自分用の灰皿を出してきて煙草に火をつけた頃には「神宮寺寂雷です」と穏やかな声が響いた。
    少し大きめの身振り手振りを交えて聞き取りやすい声で話しながら、真剣な表情で画面と向き合う姿はいかにも仕事の出来る男の佇まいで、思わず見惚れてしまう。その横顔を観察しながら煙草を吸いこみ、鼻に抜ける焦げた香りに、ふと、左馬刻の視線がパソコンの方へずれる。
    (この臭いは、伝わらねぇのか)
    画面の向こうの奴らは、まさか神宮寺寂雷の家に煙草の臭いが漂っているなんて、想像もしないだろう。
    腹の底に燻る独占欲のようなものがどろりと満たされるのを感じ、左馬刻は喉の奥でくつりと笑った。

    講演会は小一時間ほどで終了し、待たせたね、とリビングに戻ってきた寂雷の手を左馬刻が掴んで引っ張り、頭を引き寄せキスをした。少し乾いた口内に煙草の臭いを擦り付けるように舐め回す。力の抜けた寂雷を自分が座っていた椅子に座らせ、キッチンに向かった。
    「疲れただろ。コーヒー、淹れてやんよ」
    「随分、ご機嫌だね?」
    怪訝そうに声をかけた寂雷に、左馬刻は振り向かずに答えた。
    「……惚れなおしたからな」

    "皆の先生"にも、"俺だけのアンタ"にも。
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