立ち向かえ男ども!「少年、重くはないだろうか」
「全然……は流石に嘘だけど、全く問題ないよ」
己の膝上に乗せられたアオガミの頭部。少年はゆっくりとした動作で撫でながら、彼の青色の髪を指先に絡めるのであった。
「辛くなったら直ぐに進言を」
「分かってる。メンテナンス担当の研究員さんの迎えが来るまでって約束だから」
「……了解」
伏せられた緑灰色の瞳。少年の動作から確かな寂しさを感じるも、アオガミは了承を告げるしか出来なかった。
(アオガミと離れたくない)
(いつでも君の傍らに)
同じ想いを胸中に抱えながら。
そんな、数刻の別離を前に穏やかな一時を過ごすふたりの姿を扉の隙間から伺う影が複数。
――誰がアオガミを呼びに行くのか。
本日のメンテナンス担当者達が小声で揉め合い、定刻を過ぎても現れないアオガミ達の様子を見に来た越水がその役目を担うのはもう少し後の話である。