不意打ちで言うのはやめていただけますか「アオガミが羨ましい」
「羨ましい?私が?」
「うん」
半身たる少年から投げかけられた言葉。アオガミが意図を掴めずに首を傾げると、少年は文庫本から細く白い指を離し、神造魔人の白銀の指先に触れるのであった。
「アオガミ、体もでかいし、手もでかい。かっこいいもん」
「かっこいい……?」
「そう。俺にとって、アオガミはかっこいいの」
だから羨ましい、と少年はアオガミと手を合わせる。アオガミの掌は少年より大きく、指も長い。
「私は、君の指先は美しいと思う」
「え?」
「本に触れる時が、特に」
触れ合う手が、微かに熱を持ち始める。同時に頬を赤らめる少年の姿を黄金の双眸に映しつつ、アオガミは無自覚ながらも微かに微笑むのであった。