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    A_wa_K

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    140文字SSのお題(https://shindanmaker.com/587150)様から。

    交換条件『少年』
     出逢って短期間だというのに、耳になじむ声音。
     そして、出逢った当初に比べて圧倒的に感情が籠っている呼びかけ。
    「……勝てると思ったんだよ」
     黄金の双眸に映るは、小さな赤色。四神の一角、宙を優雅に舞うスザクである。
     仲魔の殆どが瀕死の中、なんとか退避に成功したナホビノは舌打ちをするも、再び半身から呼ばれて肩を竦める。
    『少年』
     三度繰り返されるナホビノの意思を象る二文字。
    『私は、君に傷ついて欲しくない』
     諫めるようでありながら、切実なる願いが伝わる想い。
    「じゃあ――」
     ――アオガミも、自分を大切にして。
     まるで交換条件のように口から飛び出しかけた言葉。けれども、ナホビノはなんとか耐えることに成功した。
     アオガミならば、条件を持ち掛ければ頷いてくれるだろう。しかし、それはナホビノの望みとは異なる。
    (互いに互いを担保にするなんて、出来ないよ)
     同時に、ナホビノは己の無謀な行為を恥じるのであった。
     先ほどまでの勇み足はすうっと引いていき、半身を心配させ、仲魔達を巻き込んだ事に対する後悔が湧き上がる。
    『何だろうか?』
    「……何でもない。じゃあ、もっと強くならなきゃって」
    『その為には相手の力量を把握する事も重要だ』
    「アオガミの言うとおりだ」
    『少年?』
    「もう、無謀なことはしないから」
     ナホビノの変容に疑問が浮かぶアオガミであったが、彼はそれ以上の追及を行わなかった。彼の言葉が真であると、半身であるアオガミには理解が出来たからだ。
    「みんなに謝らなきゃな……。ついでに、何か美味しいものでも……」
     ぶつぶつと呟きつつ、ナホビノは砂塵を蹴る。
     一筋の青筋がダアトの地を再び駆け巡るのであった。
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