師匠が居ない日は、ずっとケンとくっついたり手を繋いだりしている。
最初は寂しいのかと思っていたが歳を重ねるにつれてそういう訳じゃないことに気づいたのだ。
リュウがされるがままキスを受けると楽しげに笑って肌を撫でる。ゾクリと背中を震わせていると今度は胸の辺りにキスをし始めたりする。
ああすればこうする、少しでも手を出せばお前はじっとしてろ、と釘を刺され。
たまには自分からしてみたいのに、と口を尖らせたりしたこともある。
だが…今日は午後から師匠から言い渡された別の修行をしなければならない。
これからする時間もなければ、そういう時間でもない。何とかケンを退かさなければならない、と危うく流されてしまいそうだった自分の頭をブンブンと振った。
「ケン…もう、いいだろ…っ」
「んん〜…まだ風呂に入ってないからすげーリュウの匂いがするんだよな…」
「なっ、嗅ぐな!」
「ええ?いーだろ?」
ちゅっ、ちゅと音を立てながら吸い付く姿は授乳されている子供のようだった。山で生活をしていればこういった場面もよく見る。
ただそれがケンだとどうも、面白おかしく感じてしまって慌てて引き剥がす。
「あっ」
「くすぐったい」
「…はは〜ん、さては気持ち良くて感じちゃったんだ?」
「そ、そうじゃない!お前すぐ跡をつけたりするから大変なんだ!それに、まだっ」
胸元だけ晒されていたところを腕で隠し後退る。
「いいか?隠されると男ってのは余計に見たくなるもんなんだ、ぜ!」
「あっ!おい!」
腕を掴みそのまま押し倒すと再びリュウの胸部がさらけ出される。ピンと芯がある乳首に吸い付いてもう片方の胸をむにむにと揉んでやる。
しっかりとした形をしているがとても柔らかい筋肉で触り心地は良い。乳首だって感度が良くて素直に反応をするリュウがまた堪らない。
「ッ…は…ァ…あぁ…」
「ン…へへ、やっぱ気持ちいいだろ…って」
「おれ、のを、さわってなにがたのしいんだ…!」
「楽しいぜ、こんだけ反応してくれんだからさ…」
困った様に下がる眉、肩まで赤くなる肌。
反抗的な薄く開いた目。
その全てを見ながら触れる体を蹂躙するのは随分と気持ちが良い。口の中で好き勝手に舐めてやるだけで声を押し殺しながら腰が無意識に動いている。
ケンが舌先でくりくりと軽く突いてからまたぱくりと口に含んで舌で押しつぶすように舐めるとひっ、と悲鳴の様な声が聞こえた。
「あっ…んんっ…ん…ふっ……ぐっ…」
(ホント…弱いよな〜…。こんなの、毎日触ってたら弱点になっちまうぜ。)
「や、っ…め、もぅ…ッんっ…ひっ」
「あー?……やだね」
ケンが目を伏せ、揉んでいた方の胸を見てから今度は一緒に指でいじめてやる。弾いたり強めに引っ張るだけで十分な刺激だろう。
加えて口でも刺激を与えられているのだから逆にもどかしくてたまらないはすだ。直接抜いてやっても良いが、ケンも下半身が徐々にきつくなりつつある。 腰を浮かし畳に擦り付けるように押し付けた。
「ん…」
「ん、ぅ…け、ん、ッ…」
「お?」
「だ…め、だもう…」
「へへ、じゃ…そろそろ…」
我慢出来ない、そんな顔を向けられたら自分だって開放したくなる。
膝立ちになり、下をずらそうとすると次の瞬間かなり重たい拳が飛んできて後ろにそのまま転がってしまった。あまりの衝撃に声すら出ないまま顔を上げるとふぅふぅと息を見出しながらも見たからに怒っている真っ赤な顔がケンを見下ろしていた。
「~~~~~ッまだ、明るい時間だろう!!」
「ハァ!?明るくなきゃいいのかよ!?ってか今の完全にする流れだったろ!!」
「そういう問題じゃない!とにかくもうだめだ!修行の時間だ!」
「は!?修行って…あッ、おい〜!!!俺だってもう」
「そ、れくらい…自分でっ!どうにかしろ!」
ドンッ!と音を立てて立ち上がり、ズンズンと歩きながらピシャリと襖を閉めて廊下を歩いていく足音がした。
「…そ………そりゃ…無いぜ…。」
一方あと少し、というところでお預けを食らったケンはどうしようもない下半身をおさえながらメソメソと倒れ込んだ。