『どうにかなってしまいそう』 アスティカシア学園の理事長を務めているグエルは先日、地球の学校と提携した就学支援プランを打ち出した。
もともと優秀な地球人の受け入れは行われていた――地球寮で過ごしていたニカのように――が、今回その間口をもっと広げようとなったのだ。
一部の秀才だけが成り上がる仕組みだったものを、全てのこどもに教育が行き届くようなシステムを新たに作ろうと。
グエル本人の発想ではなく、教育に携わっているという昔馴染みのアイデアを受け入れた形らしいが……まあ、べつに何でもいい。オルコットには直接関係ない話だ。
この新制度のおかげでセドが「おれも兄ちゃんと同じ学校に行ける」と喜んでいたし、何も問題視する点のない美談だ。
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