オルグエ没小説 舎弟頭×組長息子※途中まで
その日、グエルは塾の帰りで夜遅くに帰宅していた。
暗い夜道を自転車で駆けていたら、自宅である屋敷の前に何かがあった。黒い大きな塊で、塀の前に佇んでいる。
気になって自転車を停め、塊に近付いてみるとそれは人間のようだった。
ごくり。
ゆっくりと生唾を呑み込んでソレに一歩寄ってみる。
「あ……あの。大丈夫ですか?」
ぐぐ、と唸り声が響いてグエルは小さな肩を跳ね上げた。
恐ろしいが、勇敢な少年はさらに一歩塊に向かっていく。
「必要なら救急車か警察を呼びます」
「……いや、いい」
なんと、塊が喋った。声は低く、それなりに年上の男のようだ。
まともに会話ができる相手らしいと分かって少し安心する。グエルは今度は迷いなく彼に近付いていき、その肩を揺すった。
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