九尾の日和と人の子ジュン「・・・あのぉ、」
ドタバタと愉快な対面を果たした四人は現在、客間のテーブルをはさみ、それぞれに茨のいれた紅茶とジュンが手土産に焼いてきた木苺のパイを手元に並べて座っている。ジュンは隣に座る日和の尻尾が上向きになって時折揺れるのを視界の端にとらえながらも、斜め前に座る凪砂のじっとみつめる視線に耐えきれず声を上げた。
「凪砂・・・さま?えっと、オレの顔に何かついてます?」
「・・・あれ?私?・・・あぁ、ごめんね。日和くんの連れてきてくれたパートナーである君のことが気になっちゃって。見つめてしまっていたみたい。君がジュンだね、初めまして。私は凪砂。よろしくね。・・・私にも日和くんみたいにステキなあだ名をつけて呼んでくれると嬉しいな。」
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