ぜんぶぜんぶ、この出会いの私立夢ノ咲学院。この春から新入生として身を置くことになる学院の門を、ピカピカの制服に身を包んだレオは足取り軽く通り抜けていく。
……いや、ピカピカと言うには少し……かなり語弊があるかもしれない。途中でインスピレーションが湧き上がり通学路にある公園の地べたで作曲をしていたので、膝と肘が土で擦れて汚れている。おまけに買ったばかりのはずのスクールバッグも無くなって手ぶらになっているけれど、いつものことだ。
初日からそんな有様なレオに周囲はギョッとしたような視線を向けていたが、気にせず校舎内へと足を進める。新入生は一度組み分けられた教室に集まってから全員で講堂へ向かう流れらしい。辿り着いた教室の黒板には座席表が貼られていたので、じっとにらめっこをするように自らの名前を探した。どうやら五十音順に端から配置されているようなので、『あ』から順に視線を滑らせていく。
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