拘泥「なあ関口、お前そんなんだからダメなんじゃねえの」
地面に横たわったままの俺を見下ろしながらドブさんは煙草に火を点ける。紫煙が周囲に散らばりまるでここにはお前が立つ隙などないと言われているようだった。
またこの人に負けたのかと悔しさが滲んだ。元々図体がデカいだけで腕っぷしはからっきしだったが、ヤノさんの隣に立ち並ぶ為にと力をつけたつもりだった。それでも結局この人に勝てなかった。
ドブさんの指が煙草を叩き、灰が俺の胸元に落ちてくる。熱さも痛みも感じないがただ不快だった。辿る様にドブさんを見上げれば、その顔には無数の傷があるのに痛みなど感じていないという様子で燻った苛立ちがまたざわついた。
「ヤノのこと助けるってさあ、守るってさあ、俺に負けてる時点で何も変わってねえじゃん。口ばっかなんだよ」
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