華の残影に隠れて「——おわった~ッ!!」
チャイムの音と同時にそう叫んだルフィに、いつも通り怒鳴りつけようとしたらしい担任が、それを深いため息へと変える。
「まあいい。……こっちも似たような気分だからな」
「へへっ、悪かったな。ケムリン!」
「スモーカー先生だろうが!——おい、麦わら!てめェ、まだ話は終わって」
ちゃんと宿題はやってくっから!と言い残し、無造作にテキストやペンケースをリュックに突っ込んだルフィは、さっと頭を下げて拳を避けた。そのまま、軽々と机ひとつと窓枠を飛び越えて、廊下に逃げ出す。
「モンキー・D・ルフィーっ!!」
「わりぃっ!おれ、ほんと急いでんだ!」
夏休みにはいり、しん、と静まり返った校内に、スモーカーの声が響き渡る。階下まで聞こえた怒鳴り声に同じく大きな声で返しながら、ルフィは小さく震えたスマートフォンをリュックのポケットから取り出した。
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