「宇佐美、俺たち別れようぜ」
百之助が僕を見ないで言う。ちなみに僕らは喧嘩中でも何でもなくて、昨日はセックスしたし今朝は行ってきますのチューもしたし、さっきはお帰りのチューもした。
「わかった、いいよ」
百之助が別れを切り出すのは3ヶ月ぶり5回目。今回は早かったな。
「百之助、僕はお前のこと大好きだから付き合お」
やっとこっちを向いた。感情の読めない真っ黒な瞳に僕が映る。
「俺は冗談で言ってんじゃねぇぞ」
「僕も冗談じゃないけど? 言ったじゃん、別れようってお前が言った回数分僕は付き合おうって言うよ」
百之助が自分の髪を撫で付ける。今はセットしてないけどね。
「いいよ、別に。それがお前なりの愛情表現だってわかってるから」
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