現パロレイ→マリ 風俗。こんなお店、噂には聞いた事があった程度で今まで来たことは1度もなかった。
風俗店、とかいうやつ。
多分、最初で最後になるとは思うけど。
もちろん勝手もわからないので言われるがまま1番短いコースを選ぶ。
後から延長も出来るらしい。
そもそもこんなところに来たのは、簡単に言えば忘れる為。
遠い昔、学生時代の頃に私は友達に特別な感情を抱いていた。
あれから数年経って、連絡する術も無いのであれっきりな筈なのに、忘れることが出来ない。
最近夢にも出てくるようになって、ろくに休めないのも仕事に集中出来なくて困る。
「えーっと、なにか指名とか指定はありますでしょうか」
店の者にそう声を掛けられ、現実に戻る。
「…小柄で、金髪の女の子っていますか」
小柄で、金髪の可愛い子。
その子を忘れるために似たような子とするというのは、おかしな話かもしれない。
それでも何となく、そうしたらなにか吹っ切れるような気がしたのだ。勘みたいな、そんなやつ。
「あー…いるにはいるんですけど結構新人なんですよね」
「大丈夫です」
いるのか…そんな子。
ダメ元で言ったみたいなものだったのでその事実に少し驚く。
「あ、じゃあえーっと、こちらの部屋で待ってたら来ると思いますので」
そう言って案内された部屋は、かなり広かった。
店の人が部屋から出て行って、1人になった時私何してるんだろう、という気持ちになってくる。
やっぱり慣れないことするもんじゃない。
部屋をぐるりと見渡しているとドアがコンコン、とノックされた。
さぁいよいよご対面といった感じでドアへと目を凝らす。
「大変お待たせしてしまい、申し訳ございません」
嬢は謝罪を述べながら、ふわふわの金髪を揺らしながら入って来た。
「本日はどうぞよろしくおねが……って、え」
嬢は私の姿を捉えた途端にくらっと後ろに下がりながらこちらを指さした。
小柄で、ふわふわの金髪で、とっても可愛い子。
まさか、こんなこと有り得ない。
「れ…霊夢だよな」
忘れるために来たはずなのに、まさかもっと思い出す羽目になるなんて。
しかし、かつての友人はそんな私の反応なんて目に入ってないのか昔と同じように目をきらきらと輝かせていた。
「やっぱり霊夢だよねえ、元気してたか」
「え、えぇ、それなりには」
彼女の圧に押されるようにして、私もやっと口を開いた。
彼女は私の再会を純粋に喜んでいる様子で、まじまじと見つめてきた。
それから今の状況を思い出したのかはっとしたように話を進めた。
「…常連さん」
「いや、初めてね」
彼女はそっかそっか、という風に私の横にぴったりくっついてふわふわの金髪を揺らしながら頷いた。
普段からこんな風にしてるのだろうか、と思うと少し胸が痛む。
「それならどうして来たんだ」
「どうして……ねぇ」
本人に向かって貴方を忘れる為に来ましたなんて言えるわけが無い。
「何となく、かしらね」
「変わんないなぁ」
昔のことを思い出したかのように苦笑する彼女もまた、何一つ変わらないように見えた。
「…そういえば指定ありがと」
「あ、うん」
「小柄で金髪って指定、もしかして私」
はいそうです、なんて簡単に言えるわけない。
かと言って何も答えないのも怪しまれるだろう。
彼女はそうです、と言われても言われなくても喜びそうな顔でにこにこしながら足をぱたぱたしていた。
当たり障りのない言い方をすれば何とかなるか。
「突然聞かれてぱっと頭に浮かんだ姿がそれでね、それしか知らないし」
「あーそっか、お前私以外いなかったもんな」
そんなことは無いんだが。
哀れみの眼差しを向けられる。
「あんたもじゃない」
「そうだっけ忘れちゃった」
そう言ってあはは、と笑った。
人を哀れんでおいてそれはどうかと思うけど。
「魔理沙は……あ、やっぱりいいや」
「え、なんだよ」
彼女は不満そうにぷくっとほっぺたを膨らませてむーっと唸り始めた。
「じゃあ聞いていいのこの仕事始めた理由」
「それは…聞かないで欲しい、かな」
少し目を伏せながらそう答えるのを見て、やっぱり触れちゃ良くなかったかなと反省する。
いやでも、機嫌悪くしたらめんどくさいし。
「そういえば、これからどうする」
「…どうするって」
聞き返すと魔理沙はぱっと立ち上がって何故かくるりと一回転をした。
「一応、霊夢はお客様なのでね。もてなさないと」
まぁ特に求めてないなら無くても大丈夫だけど、と魔理沙がまた私の隣に戻る。
「どうする私、出来るよ」
「何それ、出来てどうなんのよ」
「え、仕事……あれもしかして私が下のつもりだった」
あ、そっか。こいつここで働いてるんだった。
昔からなんにも変わってないように見えるけど、変わってるんだ。
これまで何人を相手にしてきたのだろうか、なんて考えてしまう。
「…あんた、できるの」
「えーと…ほんとはできない」
というかしたことない、と笑いながら魔理沙は人差し指を口に当ててこれ内緒ね、という感じに答えた。
思ってた通りというかなんというか。
ただただ、信じたくない気持ちが強かっただけかもしれないが。
「なんで出来るなんて嘘ついたのよ」
「だって出来ることにしとかないといけないし」
私以外が相手だったらどうするつもりだったのだろう。
「まぁそれなら私もしないけどね。するつもりもない」
「ここに来た意味無いじゃん」
確かにそうかもしれない。
けど、流石に昔の友達とするなんて出来るわけないしする気にもなれない。
「…じゃあさ、連絡先、交換する」
どこから取り出したのか魔理沙は手にスマホを握っていた。
あ、そっか、これっきりじゃないのか。
てっきりここで別れたらもう二度とこいつに会うことはないと思ってたので連絡先交換という言葉にその手があったか、なんて思ってしまう。
「いいわよ」
「ほんとやった…」
大袈裟に喜んで見せる彼女と連絡先を交換する。
そうか、忘れなくたっていいのか。
また、友達として仲良くしてそれから…なんて事も不可能じゃないんだ。
時間を持て余す休日も、こいつと遊びに行ったり出来るかもしれない。
あぁやっぱりこいつの周りはいつもきらきらしてる。
こいつといると楽しくて退屈しないくて、そんな所が好きなんだなって。
「私、この仕事やめようと思ってるんだ」
「これまた唐突ね」
「だってもう必要無くなったし」
何が必要無くなったのか、それを聞きはしなかった。
聞いたところで何にもならないし。
「霊夢はさ、暇な時とかある」
急に話が変わった、というか戻ったのか。
「まぁ、あるけれど」
「じゃ、いつかさ、遊び行かないか2人でどっかに」
まさか魔理沙から誘ってくれるとは思ってなかった。
「いいわね」
驚きと喜びが入り交じった感情を押し殺しながらそう返した。
「…と、短いけどそろそろ時間だな」
「あ、もうそんなになるの」
流石は1番短いコース。ほんとに短い。
「なんか、悪いな。お金だけ落とさせて」
「そんなことない、楽しかったわよ」
それに再会が出来たんだ。
忘れる為に来たのに思い出すことになって、それでもまた友達として仲良く出来ることになって。
いくら金を積んでも見つかりっこないと思うし、何よりほんとに再会出来たことが嬉しくて仕方ない。
「外、だいぶ暗いと思うから気を付けてな」
「大丈夫よ」
じゃあまた、と部屋を後にする。
代金をきっちり払って店を出て、頬に当たる冷たい夜の空気と輝く星にふと足を止めた。
鞄からスマホを取り出して、連絡先を交換したという事実を噛み締める。
遊ぶのはいつになるだろう。昔みたいにお店をひたすら回ったりするのだろうか。
きっと楽しい。あぁ、その日が待ち遠しい。
ふと、空を見上げると、さっきよりも星が強く瞬いていた。これから起きる、素敵な出来事を予感するように。
〈あとがき〉
……はい。すみませんでした。
いや、ね?昨日の夜ぽやりんぽやりんしてたら突然頭にこのシチュエーションが浮かんだんですよ!!!
これは書かねばと……言うことで……書きました()
風俗店に行ったらまさかの……!!って感じの話は前から書こうと思ってたんですがついに書きました。
でも風俗がどんなかよくわかってないのでほとんど想像です。。。
戯れの方で書いてるえ……なレイマリの息抜きみたいな感じで書いたらくがきなのでよくわからないのはご愛嬌……()
この2人、近いうちに付き合うってよ(予言)
とりあえず眠いのでこんくらいで許したって……
あとがきなんでそんなにいらんやろ()
寝ます。おやすみなさい。
良ければ戯れの方で書いてるえ……なレイマリも公開したら覗いて見てください〜!!!
じゃ、まったね!!!!!
(題名くそ雑選手権最優秀賞作品)
ぽいぽいあとがき
衝動的に書いたやつです…懐かしい…(?)
ここだけの話、風俗系の現パロは別のも書き中だったり……
毎度の事ながら読み返しては無いのですが、割とお気に入りなような…そうでも無いような…
いつものことですが私の書くレイマリは私の地雷が無くてとてもよい。(人の地雷は余裕で踏んでる)
読みたいと言ってくれる方には読める環境を与えたいのでこればかりはポイピクに感謝です
レイマリちゃん可愛いね…6月はレイマリちゃんの結婚式を念写します(絵)
無駄にくっちゃべりましたがレイマリは俺のジャスティスってことで…
じゃ、またの〜
消しゴムのカバーのフィルムが剥がれたところにレイマリは俺のジャスティスって書いたのは内緒…()