出合い一人の青年が砂漠の国の繁華街を歩いている。
黒い服と、黒い髪。その頭にはターバンの様に白い布が巻かれていて砂漠の強い風によってそれがたなびく。服装だけでも異国の存在であったが、さらに黒い細身の直刃の剣を腰にさしていた。
砂漠の街の住民とは雰囲気の違う存在に、通りすがる住人たちは珍しそうに振り返る。
その存在に気が付いた街の衛兵が1人近づく。
「怪しいやつだな。何処の国から来た?」
衛兵が青年に声をかける。
「……」
答えずに鋭い眼光を衛兵に向けた青年を訝しんで、周辺にいた他の衛兵も集まってくる。
「身分を証明できるものは持っているか?」
「その刀はどこで手に入れたものだ?」
衛兵が青年を取り囲み、剣を抜こうとした瞬間。
1909