未定 世界は終焉に向かっているのかもしれない。
突如としてソレは現れた。死んだはずの人間が生き返り、生きた人間を貪り喰う。そう、ソレはゾンビと呼ばれる未知の生き物だった。
(───っ、最悪だ。)
下平は辺りを見回して眉根を寄せる。逃げ遅れた女子生徒を助けようとしている間にヤツらに囲まれてしまった。徐々にゾンビに距離を詰められていき冷たい汗が背中を流れる。
「しもへー!こっちだ!」
突如、声が聞こえた後銃の発砲音が響く。
「おーぎくん!」
おーぎ君が正確無慈悲に銃でゾンビの頭を撃ち抜いていく。
「しもへー、これ使え!」
おーぎ君が投げた黒い物体が綺麗な円を描いて掌に収まる。
背中におーぎ君の体温を感じる。
「しもへー、お前ならできるだろ?狙いを定めろ」
おーぎ君が耳元で囁く。
僕はゆっくり深呼吸すると掌の中にある銃を目の前にいるソレに狙いを定めた。
すぅと息を吸う。
────ハリガネ
その瞬間視界がクリアになる。指を引いた瞬間、パァンと乾いた音が響く。まるで風船が弾けるようにゾンビの頭が飛び散った。血飛沫が飛び足元に黒い血液の水溜まりができる。
「やるじゃん、さっすがしもへー」
「わっ」
おーぎ君の腕が首に回される。
背中越しに感じる熱い体温に心臓がどきどきする。
「おーぎ君、近いよ」
「昨日はもっとすごいことしただろ?」
おーぎ君が意地悪に笑う。
「っ、おーぎ君!」
はっとして、助けた女子生徒を見ると驚愕した顔をしている。
「こいつ優しいから勘違いしやすいけど、俺のだから」
「おーぎ君!」
「げっ、アイツらまた来たぜ。こりねーな。ほら、行くぞ」
おーぎ君に手を差し出される。
「うん、行こう」
迷いなく手をとって握り返す。
「ほら、君も行こう」
しもへーと呼ばれた少年に手を差し出される。
「……なるほど、私は当て馬役ポジションね。嫉妬して俺のもの発言萌え〜」
「 は? 」
女子生徒はボソボソ何かを呟くと輝くような笑顔でしもへーの手をとった。
「当て馬上等、2人のイチャイチャをみるまで死んでたまりませんわ〜」
「 は? 」
所詮、女子生徒は腐女子だった。
この物語は2人の少年と1人の腐女子が巨大な敵に立ち向かっていく物語である。
─────続かないよ、笑