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    @u_oyue

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    @u_oyue

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    ムーサ 秋、兎崎さん(R)手桶を自分の傍に置き、冷たい水に潜らせ絞る。
    そして手のひらで少しだけ冷たさを緩めたあとに失礼します、と一言かけてから骨の浮き出た薄い身体を優しく拭う。

    時折皮肉も強い兎崎先生だが、良くこの様な細い身体からあれだけ力強い言葉が出てくるものだとふと思う。

    その力強さは私には持てないもので、羨ましくもあり、憧れる時もある。
    考え事をしながらも何度か手ぬぐいを手桶で洗いながら再度少し暖め、身体を拭った。


    「随分と割れ物を扱うように触れるのだな。案ずるなかれ、私はそう脆くはない」

    胸元を拭いているとそう言われ、少しだけ強く身体を拭く。
    時折強い視線を感じるが、言葉はないので静かに作業を進めた。

    背中をあと少しで拭き終わる、という時に不意に悪戯心がおき、首から肩甲骨にかけた付近に手を宛てたあと、軽く唇を押しつける。
    唇越しに少しひんやりした肌を感じた。

    「樋口氏?」

    肌越しに伝わる声の振動を聞きながらゆっくり唇だけ肌から離した。

    「すいません、少し目眩をおこしまして」

    静かに言うと

    「身体は大事にしたまえ」

    と一言だけ返ってきた。

    清めた身体の着物を正し、手ぬぐいを入れた手桶を持ち、片付けてきます、と洗い場に向かった。

    目眩など嘘だと先生もわかっているだろう。
    それでも嘘に付き合ってくれる先生は優しい。

    先生の傍に戻り、煙管をふかしている先生越しに窓の外をみた。

    「先生……夏が来ますね」

    きっと今年の夏も目眩がするほど暑くなる。
    流れる紫煙と先生を見ながらそう思った。
    ________

    薬を吸飲みで飲み終わり、酷い咳込みが終わった細い背中を、何度も手のひらを優しく動かし、ゆるりとさする。

    「済まないね、樋口氏」

    普段より少し掠れた声がかけられる

    「いいえ」

    私のした事など薬と吸飲みを渡し、このように背中をさすって苦痛を和らげる手助けのみで……

    ふるり、と発作の後で震える身体は余分な脂肪もないせいか、分厚い着物に包まれて尚も寒そうだった。
    だから包み込むように正面から抱きしめ体温を重ねた。

    「少しは寒さは和らぎましたか?」

    耳元で囁くと細い手のひらが頬を撫で

    「君が暖めてくれるのだろう?」

    と存外に優しい声が聞こえ先生をみた。

    ほんの少しだけ眼鏡の奥の瞳も柔らかく揺れる。


    その瞳に吸い寄せられるように眼鏡を外し口付け、何度か舌を絡めて自分よりも冷たい舌を暖めた。ゆっくり負担かけないように先生の上に乗り、着物を剥いで唇と舌と自分の肌の体温を移し、小さい吐息が漏れるのを耳で拾う

    私の熱が少しでもこの人を暖めますように……

    そう願いながら瞳を閉じて重なる熱を瞼の裏で静かに感じた。

    _______
    .

    月明かりの下、部屋を蠢く2つの影はゆるりと揺れて動き形を変えた。
    それは水槽の中の魚のようにゆっくり揺らぐ男女の影であり、ゆるりと床に溶けるように落ちた。

    仰向けで自分の下にいる兎崎に体重をかけぬように気をつけながら秋はその薄い唇に触れ、ゆっくり口内を舐った。
    仄かに煙草と薬の香りがする自分より冷えたそこを自分のそれで割り開いて、舌を絡め唾液を啜る。心地良い触れ合いに頬が緩やかに上気していく。

    逆上せたような表情のまま顎から滴る名残をそのまま拭いもせず、指で鎖骨や薄い胸をなぞる。
    文字を描くように胸元に這わしている指に時折反応する身体を労わるように愛おしむように優しく撫でた。

    何れ位そのようにしていただろうか
    静かに兎崎の細い指がつつ、と白い背中を滑らかに動き、ぞわぞわと込み上げる気持ちよさに普段よりも甘い声が小さく部屋に零れ落ちた。

    思った以上に甘やかに響いたその声に反応するかのように伏せられていた黒茶の瞳が開き、今宵も良い月だな、と呟き翠茶の瞳を見つめて柔らかく揺れた。その視線を受けながら上半身だけムクリと起こし、馬乗りになりながらそうですね、と小さく微笑みで答え着物をはらりと脱ぐ。

    素肌の背中をなぞる指はピアノを弾くように何度か白い肢体の上で跳ねてから胸元に移り、秋の2つの膨らみを柔らかく揉んだ。
    その手つきは宝物に触れるような壊れ物を扱うような羽根を撫でるような触れ方で快感を得るには少し足りず、もどかしさと切なさがつのる。

    「せんせい……意地悪しないで……」

    焦らされたもどかしさで滲む涙を長い指で拭われる。
    ムクリと起き上がった兎崎の唇に双丘の頂を含まれ舌と唇が与える熱が一気に体内全身を駆け巡り気持ち良さに顎と背中が軽く反れる。
    胸を突き出すような体制のままで抱えられ、ひくひくと震える胸元で動く頭を優しく抱いた。

    自分の偽物の黒とは違う綺麗な色の髪に頬を宛てながら嬌声を吐息に変え胸元から込み上げる官能に耐えていると視線を感じてか不意に顔があげられ瞳が重なった。

    うっすら浮かぶ微笑みがやや色を含み艶を増していて、その表情がとても蠱惑的に見えてしばし見とれたが、魅入られないようにゆっくり視線を逸らして逃げる。

    視線から逃げながらあばら骨が浮く胸元にしなだれかかり、舌で首筋から胸元を経由してどんどん下半身へと愛撫した。
    胸元を舐めている時から起立していたそこに辿り着くと躊躇いもなく軽く唇を宛てゆっくり咥えて舌で筋張った場所をなぞっていると、頭上から聞こえた呼吸が僅かに乱れた。

    じゅぶ、じゅぶ、じゅぶ、と淫らな水音を立てながら他の部分よりやや熱い硬く震えるそこを口内に含んだ。
    そのまま喉まで上下に動かし、舌でしごくように吸い上げ見上げる。
    目線を上げると気持ち良さそうに目を瞑る姿が見えて、より一層丁寧に動く。
    時折髪を撫でる優しい手を感じながら呻きが強くなった所で口の動きを止めた。

    触れずとも蜜に濡れた自分の秘所を軽く指で解し、唾液に濡れた起立に充てると

    「年端もいかぬ娘のような君とこうして体を重ねるのももう、何度目の夜だろうか」

    うわ言のような言葉を瞳を覗き込まれながら言われた。

    ~この人の全てを見通すような瞳は時には心地好く、時にはそれから逃げたくなる~

    そうしないと自分の中にあるものが暴かれてしまいそうな賢者の瞳だった。
    だから瞼を伏せて視線を逸らす
    それくらいでは逃れる事などできぬけど……

    「私なんぞのような男で、君が満たされるというのであれば」

    と腰を掴んでいた彼の両手が起立を飲み込ませるように動き、賢者の瞳が閉じられた。
    全てを飲み込む瞬間にふっ、と息が僅かに乱れるのを聞く。

    「んっ……何度めでしょうかね……もう忘れました」

    自分の中に入る楔に堪らず声を漏らし、前のめりになる身体を預けてまた唇を奪った。
    深い口付けを繰り返しながら激し過ぎないように腰を動かすと小さい快楽の波が押しては返す。
    この快感を追う時間は良いと思う。
    1人ではない、と、実感できるから……

    ゆるゆる動きながら聞こえくる呼吸に雑音が混じらないのを確認し、更に深い快感を身体と心で探りながら追う。
    僅かに開かれた見通す瞳が揺れる視界を、自分と本人が漏らす呼吸が静かに響くの見聞きしているのを見た。

    顎や肌から温い汗がぱた、ぱたり、とかぶさっている肌に落ち、その度に腰に添えられた手が力強く動いて深い部分の接合部分を導き満たす。

    体内の襞が楔に強く絡みつくたび大きな波が身体を震わし、何度も腰をくねらせ吐息をもらし相手と自分の悦い部分を見つけては快感の波を高めた。
    涙に滲んだ顔で青白い精悍な顔を見ると僅かに眉間にシワを寄せている。普段は自分より冷たい身体も2人の体温でじわりと汗が滲んでおり快感と抱かれている悦びで瞳から涙が滲んでは細いの身体に染み込んでゆく。

    目尻をまた指で拭われると

    「…今の君は、絵画の中で囚われた女神の子供、天の使いの、ようだ」

    「…天の国から、追い出された、人に一つ近づいた、天の使い…そう、言った方が…合っているようだね…」

    と、吐息に乗せられた掠れた声が賛美を紡ぐ。
    どのような思考を得てそのような美しいものになぞらえられたのかは分からない
    だけど

    「んっ……私はっ……」

    時折手の甲で嬌声を堪え、揺れる身体と短い呼吸の合間から物言いたげな瞳を見つめる

    「先生が言う様な天の遣いにはなれそうにありません……だって……」

    腰を大きく揺らしながら一呼吸置いてから浅ましい考えをする自分を嘲笑う。
    微笑みを浮かべた頬を伝う涙は先程より冷たく滴り零れ落ちる
    だがそんな事はどうだって良い

    「だってこのように貴方を地に縛りつけてしまう……」

    それだけ告げながら更に腰を小刻みに揺らした。すぐに湧き上がる波が体内で大きく広がる。
    同時に奥へ進められた腰が一番奥へ密着し、小さい唸り声と共に収縮を繰り返す密着部分の最奥を抉り、そのまま熱が広がるのを感じた。

    蜜壷の最奥に吐き出された白濁の感覚が落ちつくまで軽く身体を震わせ快楽の波が落ち着くのを待つ。呼吸と疼きが落ち着いた頃に先程言えなかった言葉の続きを耳元に唇を寄せて秘密話をするように囁く

    「先生……天を目指すのではなく……」


    その先を言うのを躊躇ったが更に声を潜めながら洩らした


    「……一緒に堕ちてくれますか?」


    熱の篭った眼差しで見つめていると何かを考えていたような眼差しが意志を持って見つめ返した。
    開かれそうになった唇に素早く人差し指を押し当て返事を止めた。

    多分聞いてしまったら自分の中の何かが揺らぐ

    だから答えなどないほうが良いのだ

    少しだけ憂いを帯びた微笑みを浮かべ、言葉が紡げぬよう薄い唇に自分の唇を重ねて塞ぎ瞳を閉じた。

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