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    Hakuaisan(GWT)

    @Hakuaisan

    二次創作てんこ盛り野郎

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    Hakuaisan(GWT)

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    まーた新しいの書いちまったよもう(一度出すとなかなか止まらないんだよ)

    次→https://poipiku.com/2688419/7789080.html

    突然だが、僕の自己紹介をしよう。名前は伊月暁人。享年22歳。生前の記憶は全く無いが、死んでるのは確かだ。生前の記憶がないと言うことはつまり自分が死ぬ前まで何をしていたのかということが分からない。なので自分が死んだ時のことも当然覚えていないし家族構成も不明。ただ一つ分かることがあるとすれば、自分には妹がいるということ。思い出したわけではなく生前に自分が使っていたものや身の回りの物から推測できるのだ。そして今、僕は何をしているのかと言うと手にしているこの・・・『リスト』に載っている人を殺す為に行動している。僕が手に持つこのリストには殺したい相手の名前とその人物についての詳細が書かれている。誰がどんなことをしてどういった経緯で殺すことになったのかなど事細かに書かれている。もちろんそのリストに従って殺しを実行するのは僕だ。まあ、言ってしまえば殺し屋みたいなものだな。しかも僕は死人だから幽霊の殺し屋ってことになるね。さて、前置きはこのくらいにしてそろそろ本題に入ろうか。なぜこんな話を始めたのかと言うと────
    「あぁ、暇だ・・・」
    そう呟きながら僕は新幹線の窓際の席に座って流れる景色を眺めていた。何故なら今回のターゲットが渋谷からかなり離れた田舎にいるからだ。正直、面倒臭い。でも『リスト』に載っているから殺さないわけにもいかないんだよな。そもそもこの『リスト』はどこから来たのかは分からないし気づいたらあったんだよね。最初は半信半疑だったけど、こうやって殺し屋として生きてる以上信じざるを得ないよな。それにしても本当に退屈だ。もう3時間ほど同じ風景を見続けている気がする。グリーン車の切符往復分買ったんだけど全然目的地に着く気配がないぞ?これじゃグランクラスの指定席の方が良かったんじゃないのか?幽霊だから無賃乗車しても良いんじゃないかって思うかもしれないがそれは僕のポリシーに反するのでしない。前に殺したやつの財布スッて中身を駅の柱に隠しておいたことあるけどバレなかったし大丈夫だろう。だって幽霊だし。目的地まで余裕があるので寝ることも考えたのだが、この3時間はずっと起きていたので眠くもない。それに、一度寝るとなかなか起きれない体質なので困ってしまう。そんなことを考えているうちにまた新幹線はトンネルに入り窓から見える景色が暗闇に包まれた。その時、ふと何かを感じ取ったような気がしたが気に留めるほどのことでもない。ただ・・・
    「また、君たちか」
    無い学生服を着た首の無い学生と傘を差したのっぺらぼうのサラリーマン。マレビトだけは嫌なんだよ。だって仕事の邪魔だからさ。上着に隠したナイフを取り出して僕は彼らの心臓目掛けて投げた。すると二人はあっさりと消滅した。
    僕は彼らが消えた後に残ったキラキラとした物体を回収した。これはエーテルと呼ばれるモノらしい。エーテルとは人や物が終わりを迎え、この世からあの世に移動する際に発生する物質のことで、マレビトはそれに人間の負の感情の集合体がエーテルと合わさって、思念の方向性ごとに形を成し人を襲うようになったもの。エーテルやマレビトの知識についてはそれについて研究しているところから盗み聞きしたり資料をちょろまかしたりして知ったことだ。ちょろまかした資料は必要無いから溝に捨てたり燃やした。あとそういうのを調べているところから都市伝説の調査資料をいくつか懐に忍ばせてる。こういった類の物は暇潰し最適だから。とりあえず『ジャイアントてるてる坊主』と書かれた資料を目に通して時間を潰した。
    ****
    目的地に到着してから辺りを見回す。何の変哲もない集落といった感じだ。長時間座っていたせいか身体中痛いし早く終わらせたい。ターゲットの家に向かう為、山道を歩く。ここらは舗装されている道が少なく歩きにくい。しかもハイヒールを履いているから余計歩きづらくなっている。ケチらず登山用のブーツでも買えばよかったのだろうか。少し後悔しながら歩いていると目的の家が見えてきた。周りには田畑が広がり、一軒だけぽつんと建っている。家は二階建てで屋根の上には煙突がついている。なんとも不格好だ。その家の玄関扉の前に立つ。こんなところに家建てるなんて物好きな奴もいるんだな。インターホンは無い。代わりにノックをしてみた。コン、コン、と乾いた音が響く。幽霊なら壁を通り抜けられるから良いじゃないかと思うがそれではつまらないだろ。どうしようかと思い上を見上げると開いている窓が見えた。僕はその窓に向かって跳躍する。窓のヘリに掴まって中に入った。そして僕は中を覗いて驚いた。そこには眼鏡をかけた優男がいたのだ。まさかこんなところでターゲットに会うことになるとは思ってもいなかった。あんな清楚な顔をしているが中身はたくさんの女性殺した連続殺人犯で強姦魔だ。そんなクズ野郎にお似合いの死に様を用意してやる。僕の姿が見えていないのを確認してから僕は家の中の様子を見ることにした。特にこれといったものは見当たらない普通の民家だ。アンティーク調の家具が置いてあり洋風な雰囲気を感じる。男は椅子に座って新聞を読んでいる。今なら簡単に殺せそうだが、もう少し様子見することにした。それから30分ほど経った頃、男が立ち上がった。どこにいくのかと見ているとキッチンに向かって呑気にラジオを流しながら調理をし始めた。料理をしている時の手際の良さからそれなりに手慣れていることが分かる。だけど、そんなことはさせない。バキッという音と共に男の首を捻り切った。さらに手に持っていた包丁で切って刺してとどめを刺した。普段ならカッコつけた置き手紙を置いて立ち去るのだが、作りかけの料理があるのでそれを完成させて全て平らげた。食べ終わった食器を洗い、流し台に置いておく。ついでに洗面所にあったタオルを拝借して手を拭く。置き手紙を置いてこの家から出る前に僕は窓の外を眺めた。空は曇っていて雨が降りそうな天気だ。自分が何のためにこんなことをしているのかはわからない。ただ、これは使命なのかもしれない。だからこの世に未練を残し続けているのだろう。
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    リキュール

    DONE日本ゲーム大賞優秀賞おめでとうございます!(遅刻)
    おめでたいと祝われるK暁です。本編後KK生存if、『黒猫』より少し前。
    愛したくて仕方がないが我慢していたKK×子供扱いされたくない暁人のお話。
    吉事あれば腹の内を晒せ「(おや、ちょうどいいところに)」

    ふわりと浮かぶ猫又が調査帰りの僕たちの元にやってきて尻尾を揺らした。暗い路地裏、夜も遅いこともあって人通りはないため、周囲を気にせずに堂々と触れる。耳元を撫でると、顔を擦り寄せうっとりとした表情でにゃぁんと鳴いた。これを人がいるところでやると虚無を撫でるヤバい人になってしまうので注意しなくてはならない。あれは結構恥ずかしい。

    あの夜が明け、消えていた人たちが帰ってきた。街の活気が戻り再び多くの人が行き交う渋谷になってからというもの、気がついた時には既に猫又たちはコンビニや屋台から姿を消していた。まあ人間がいなくなりこれ幸いと店を乗っ取っていただけなので、人が帰ってきてしまえば返さざるを得ず仕方がないと言えばそれまでで。だからもう会うことは無いのかと寂しく思っていたら、人気のない夜道や路地裏でひょこっと顔を出すようになったのだ。驚いたが、またあの可愛らしい鼻歌が聞けると思うと自然と顔が緩んでしまう。彼らはいつも見つけられるわけではない。気紛れに現れて、たまに撫でさせてくれて、掘り出し物を売買する。この気分屋な感じ、猫はいつだって可愛いのだ。
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