breath「……はあぁぁぁー〜……」
盛大なため息に、俺は背筋が凍りついた。
今は、いわゆる事の最中。
座った上に乗せて繋がった身体。
揺すりながらでも、口付けるのも抱きしめるのも容易なこの体勢は気に入っていて、今も例外なく首に腕を回してもたれてきたサギョウの熱に溺れて、いた、のに──
俺の肩に顎を乗せたサギョウの、深い深いため息で、体温が下がった、気がする。
俺のやり方が悪いのか?
この体勢に不満があるのか?
そもそも行為に乗り気ではなかったのか?
昂ぶりからとは違う冷や汗が湧くのを自覚しながら思案する間も、途切れていなかった、長い、ため息、が──
「……っ、き、もち……ぃいー〜……」
と、続いて──
一瞬の思考停止ののちに、理解したのは、頭よりも身体の方が、早かった。
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