それを人は愛と呼ぶんだよ 先輩は、特に横顔が綺麗だよな、と、改めて思った。
額からの鼻筋がすぅっと通っていて、尖った鼻先から薄い唇に下りるラインも短くて、そこからさらに進んだ滑らかな顎の線を辿ると頬下から耳たぶの元までするりと届く。
うんうん、睫毛がちな眉間近くからぴんと立った耳の先まで何のつまづきもなく辿れる形、どれだけ眺めていても飽きないなぁ、なんて、僕が頬杖つきつつ見つめていた、その先輩は、今の今までテレビに視線を向けていたはず、なのに──
僕がぼんやりと、なんども、その輪郭を辿っている間に瞳だけを、こちらにむけていたようだ。
「どうかしたか?」
「いえなにも」
ただ見つめていただけだ、だから嘘じゃない。のんびりとしたままそう答えたら、先輩は、ふふ、と声を漏らして唇の端を上げてから続けた。
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