Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    f1sh_es_b1ue

    ブラスタ(ソテケイ/黒ケイ/ケイ受け/他は筆が乗ったら)

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💚 💛 🍩 🍚
    POIPOI 51

    f1sh_es_b1ue

    ☆quiet follow

    強いケイ様まとめ。息をする様にソテケイです。

    ##ソテケイ

     剣呑な雰囲気とはこういうことを言うのだろう。そこそこ危ない橋を渡ってきた自負はあるが、日本の都会の片隅、雑多な路地裏で拳銃を出して来たのには少しばかり驚いた。どうしたって日本という国は平和で、ドラマか何かフィクションでは直ぐ疑ってしまう。
    でもこれは現実。サプレッサーも付いているからこのフード男は「そのつもり」で来たのだろう。引き金を引けば武器も何も持たない哀れな日本人一人が静かに消えるだけ。
    海に沈められるかな、それとも山に埋められるかな。それとも解体されて臓器バラされるかな……なんて死んだ後のことを妄想、現実逃避していると。
    「What are you doing there.」
     銃を突き付ける男の背後に、とても良く見知った金色。虚を突かれた男が振り返るより先に更に距離を詰めたケイが左足を軸に、振れる事なくぐるりと腰を捻り、しなった長い足が銃を握る男の手を蹴り上げた。鈍い音したなー。手首か指か、持ってかられたんじゃないかな。男もあっちでは相当な手練れなのだろうが、不意を打たれた動揺は隠し切れてはいない。
    だったら、どうしたって、ケイが勝つ。
     汚い悲鳴が路地裏に響く。反撃する気持ちだけはある様だが、フードが剥げた男の眼前には先程離してしまった銃が突き付けられていた。


    「悪い、助かった」
     結局男を逃がすことにした王様へ礼を述べる。手元の銃はケイの手の中でバラバラに解体されていた。…マジで銃ってバラせるんだな。変な所に感心しているとため息。
    「これに懲りたら軽率に動くことは止めるのだな」
    「そうだな。また銃なんか出されたら困るからな。次はもう少し慎重にやるさ」
    「ソテツ」
    「冗談だって」



    チームKでご飯行った後に刺客に襲撃された話

     近道だと一歩路地裏に入った時だった。見るからにガラの悪い人相。趣味の悪い洋装。ただのチンピラならシカトして通り抜けるのだが…。
    「──聞き捨てならんな」
    「?今なんて…」
    「銀星、吉野、夜光貴様らは下がれ」
     聞き返しすら許さないケイの気迫に、気圧された銀星は吉野と夜光と共に距離を取る。残されたのはケイの前に出たギィと、やや後ろにソテツ。…ソテツ、アルコールが入っているとは言え、やり過ぎではないか。いや特に何か挑発したとかではないが、タバコに火を付け、あの悪い笑みは完全にチンピラ達を煽っていた。
    「ケイ、どうしたら良い?」
    「やるなら全部だろ、なぁ?」
    「死なん程度にやれ」
    「骨は?」
    「なるべくなら折るな。やむを得ない場合は一本だけ許す」
    「分かった」
    「ふぅん? ケイ様にしては随分優しいんじゃないか」
    「酔っ払いは黙っていろ」
     へいへい、と何時もの適当な返事。銀星達程では無いが下がったソテツがタバコを投げ捨てたのを合図に、チンピラ達がギィとケイに襲い掛かる。
    「一人」
     大振りの拳はトン…とギィの手に逸らされ、たたら踏むチンピラ①の背後から回し蹴り一発。
    「二人」
     続けて殴り掛かるチンピラ②は屈んで避けてから顎に掌底。
    「三人」
     何処から入手したのか、鉄パイプを振り回すチンピラ③の得物を掴む。力が拮抗しているか、いやギィの方が上だろう。鉄パイプを握り締めているのを利用する。一瞬力を抜いて今だ!!と油断したチンピラ③を、力一発自分の方へと引き寄せ腹部に一発。
    「四、五、六人」
     タイマンで勝てないからと数で来るのはチンピラ以下のすることだ。壁を蹴り、駆け上がり間抜けヅラを晒す奴らの頭上から④、⑤、⑥と順番に蹴り倒していく。
    「!ケイ」
     珍しくギィが鋭く声を上げた。チンピラの一人が上手いことギィをすり抜け、ケイの方へ向かっていったのだ。マスター代理の彼に敵を近付けてしまった。失態だ。七人目八人目と沈め、急いでケイの方へ駆け出す。
    「ギィを抜けて俺のところまで来たことは褒めてやろう」
     うるせぇとかなんとか叫びながらナイフを取り出し、斬りつけ刺そうと襲い掛かるチンピラ⑨。ケイはまだ構えすらしない。
    「──褒美だ。受け取れ」
     チンピラ⑨がナイフを振る。しかし切ったのは空気だけ。気が付いた時には眼前にケイの拳が迫りチンピラ⑨の意識はそこで途切れた。クリティカルヒット。吹き飛んだチンピラ⑨は雑多に置かれたゴミ箱等に派手な音を立てながら突っ込んでいきぐったりと動かなくなった。
    「ケイ」
    「問題ない」
    「ごめんなさい」
    「問題ないと言っている。…良くやった」
    「うん」
    「おう、お疲れさんだな」
     全部片付いた様だ。ソテツ曰く何人か逃げたらしい。どうするか問われたがケイは追い掛ける価値もないと一蹴した。終わったのを確認した吉野が夜光が駆け寄り、遅れて銀星も合流する。その顔は真っ青だった。
    「警察に通報しました。十分も掛からず来ると思います」
    「ならさっさとズラかろうぜ。警察に世話になりたくないからな」
     転がるチンピラを蹴飛ばすソテツに吉野はそれ以上は駄目だよと一応宥める。
    「ケイ、これ使って下さい」
    「?…あぁ、済まない」
     夜光から渡されたのはハンカチだ。最初出血しているのかと思ったが、顔面を殴り飛ばした時の返り血だと聞いて夜光は良かったと胸を撫で下ろす。汚れたハンカチを見て、今度買って返すと言われていたが全力で断っていた。
    「ギィ大丈夫か?」
    「平気。銀星こそ大丈夫?」
    「あ…あぁ。大丈夫だけどちょっと余りにも非現実的で…」
    「おーい行くぞ」
     まだ遠いがパトカーのサイレンが聞こえてくる。各々足早に裏道を後にする。表通りに戻り雑踏に紛れる。赤色灯が何台か通り過ぎていくのを横目にソテツが何となく気になっていたことを口にする。
    「そういえば何て言って通報したんだ?」
    「酔っ払い達が大声上げて喧嘩してるって」
    「ふは、違いないな」
    「吉野、ボク今日飲んでない。だから酔っ払いの喧嘩じゃない」
    「酒瓶を何本か割っていたからあの場は"酔っ払いの喧嘩"で間違いなかろう」
    「いやいやいやケイ、酔っ払いの喧嘩って言うレベルじゃないですよアレ。ていうか、なんで皆平気そうなんだよ…」
    「寧ろ銀星はなんでそこまで怖がってるのか分からないんだけど」
    「いやだって…」
    「俺達のほかに誰も見て無かったし、銀星が考えてる様なことにはならないと思うな」
    「えぇ、吉野は兎も角夜光まで…」
    「ちょっとそれどういう意味?」
    「…笑い過ぎだソテツ」
    「いや、だって、クク…」

    ✴ 

     退勤後に外での夕食を済ませたケイとソテツが街中を歩いていた時だ。人混みの中からでも感じる明らかにこちらをつけている人の気配。それに加えてあからさまに敵意を向けられる。…もう少し尾行が得意な奴にしろよ。とか明後日のことを考えつつソテツはケイへと声を掛ける。
    「…念の為に聞くが、後ろの奴はお前の知り合いか何かか?」
     ソテツの言葉にケイは後ろを振り返る事なく雑踏を進んでいく。遅れない様に歩幅と歩くスピードを合わせるとケイが小さく呟いた。
    「最近、新しく出来たファンでな」
    「ふぅん?ファン、ねぇ…アフターでもモテモテとは恐れ入る」
     なんて軽口を叩きながら曲がった先は路地裏。目的地に行く為にはどうしてもこの道を進まなくてはならない。薄暗い道を進んでいるといつの間にかケイのファンが三人。後ろにも二人…いや違った四人か。下卑た笑いにケイは深々と溜め息を溢した。
    「随分熱心なファンだな。羨ましいぜ」
    「そういうなら貴様ももう少し励むといい」
    「冗談。俺はアンタがいてくれさえすればそれで良いんでな」
     何が目的か。大方、何かしら探っていたケイを始末する様に送られたんだろう。とソテツは思うのだがケイがそれに対して言及する筈もなし。
    二対七か…数はあちらさんが上だが、生憎とこちらは喧嘩に負けたことがないので。当然ケイも負かされる気なんて更々ない。喧嘩を吹っ掛けられた時点で、勝ち星は頂いたも同然だと思ってる。なんたってケイ様王様なので。またそれに似合う腕っ節しているからなぁ、ソテツも何も言わず悪い顔で笑うだけ。
    「面倒だ。纏めて掛かってこい」
     首の関節を鳴らしながら手のひらを上に、人差し指を動かしcome.と男達を煽る。

     それからはもうあっという間。圧倒的な力と技術を持って、暴漢達を沈めたケイは服に着いた埃をぱたぱた払っていた。勿論ソテツも仕事しましたよ。
    「スマホに、財布……おっ、免許証みっけ」
    「身元が分かるものは全部控えておけ」
    「へいへい」
     とは言うものの、何が悲しくて一時的だが野郎共の個人情報を控えなくちゃならんのか。スマホのカメラで男達の情報を収め、即座にケイのスマホに送る。通知音確認。送った情報は即刻廃棄。
    「ご苦労」
     スマホを操作しながらケイは歩き始める。地面に転がってる奴ら、これからどうなるのかしら。なんて。こいつらがどうなろうが興味無いし、ロクな事しかしてこない奴らは、ロクな目に合わないのが世の中の摂理ってね。
    それよりも…と、ケイの隣を再び歩くソテツは褒美を強請る。
    「貴様なら直ぐにそう言うと思った」
    「流石ケイ様。話が早くて助かるぜ」
    「俺はまだ答えるとは言ってない。余り調子に乗るな」
     とは言いつつ、ホテルに着くまで何か考えてくれるらしい。楽しみが更に増えたところで、二人はまた人混みの中に紛れて消えた。



     指定されたホテルに着くとソテツはフロントから鍵を受け取り部屋に向かった。カードキーでドアを開ける。部屋の電気を点けると大きなベッドにキングサイズのダブルベット。室内もシンプルかつモダンにまとめられており、高級感漂う作りとなっていた。
     荷物を置いて一息。シャワーでも浴びるか、と考えているとスマホが鳴った。画面を見るとそこには『ケイ』の文字が浮かび上がる。メッセージ欄には遅れるとの一言。それを了承した旨のメッセージを返すと、そのままバスルームへ向かった。
    蛇口を捻れば温かな湯が身体を打つ。髪や体を洗い流し、備え付けられたシャンプーを手に取り髪を洗う。ふと鼻腔をくすぐる香りに気付く。それは先程バーテンダーをしていた男の香水の匂いと同じものだった。バーに居る時よりも強く、そして官能的な甘い匂い。思わず笑みを浮かべてしまう。そうしてゆっくりと湯を浴び終える。ソテツが風呂から出たがケイはまだ来ていなかった。備え付けの冷蔵庫からペットボトルの水を取り出すと、喉に通しながら待つ事十分程度だろうか。コンシェルジュの男が二人部屋に入ってきた。
    「こちらお届け物です」
    「残念、ケイなら居ないぞ?」
    「えぇ存じ上げていますよ」
     男は持っていたケースを開け、その中から何かを取り出す。男は手に持った物をソテツに見せつけてくる。
    「──銃?」
    「お前さんに恨みは無いけどな、ケイって野郎を消せって言われててな。まぁ悪く思うなよ?」
    「はっはっはっ! お前らが何企んでようと、どうせ失敗すると思うぜ?」
    「どうかな? 俺達は"手段"を選ばないからな」
     ソテツに突きつけられたのは、冷たい無機質な鉄の塊。セーフティーが外された音に、あら、流石にヤバいかな?と感じとったソテツの背中に冷や汗が流れ落ちる。だがそこはやはりソテツなので、ひりつく様な緊張感の中でも余裕ある大人の態度を取る事にした。
    「へえ、そんなに自信があるのか?」
    「ああ。だから大人しくしていてくれよ?」
    「さぁて、どうしようかねぇ」
     とりあえず両手を上げて降参ポーズ。すると一人が近付くや否や取り出した紐状のもので後ろ手に縛り上げる。徐ろに扉が開いた。
    「…これは何の騒ぎだソテツ。余興にしてはやり過ぎだと思うのだが?」
    「きゃーケイ様助けてー」
    「……。大根の方がマシだな。何の為に貴様に演技指導をしたと思っている」
    「少なくともこんな状況でやるなんて想定はしてないだろ?」
    「それも道理だな」
     肩を竦めてみせたのは当然ケイだ。襲撃してきた男の二人をちらりと見るとクソ面倒くさいと言わんばかりに舌打ちと溜め息を溢す。……確かさっきのメッセージ。遅くなると言っていた理由はこれかしら? 第一陣によるケイ襲撃に失敗した後、どこから嗅ぎ付けた或いは漏れたかしてこのホテルに侵入、第二陣の襲撃に来たのだろう。
    「…あ。お前もしかしてワザと漏らしたな?」
    「さてな」
    「何をゴチャゴチャ言ってやがる!!」
     本命である筈のケイの登場に慌てた犯人の内、入り口付近にいた男はナイフを振りかざす前に、足蹴りでナイフを手放してしまった。男は一瞬の出来事に驚きながらも腰を落とし、次の動作へ移ろうとするも直様手首を掴まれケイの方に引き寄せられると腹に一発。ケイの拳以外と重いんだよなぁ、と思っている内に征服され床とお友達に。
    「動くな!!コイツがどうなっても良いのかぁ!?」
    「テンプレートの台詞を吐くな三下」
    「っこの野郎!!」
     ケイの視線が一瞬下に落ちる。銃を持つ男は気付いていない。王様の意図を汲んだソテツはそっと足を上げると、体重を乗せて男の足の甲を思い切り踏んだ。痛みに叫び、ソテツから手を離した男から素早く距離を取る。代わりに素早く距離を詰めたケイが動揺する男にキッツい回し蹴りを入れると実に呆気なく床に転がった。
     ……ケイの取り巻きだろうか。何時の間に入ってきていた黒服達に男達を任せると、部屋にはソテツとケイのみ。
    「…何をしている」
    「いや、こいつらに縛られて身動きが取れなくてな。助けてくれ」
    「全く、世話が焼ける……」
     床に転がるソテツの拘束を解くと、その場で跡が残っていないか確認をする。赤くはなっているがどうやら大丈夫な様だ。
    「で、襲撃してきた奴らは何者だ?お前を消すとか物騒なこと言ってたけど?」
    「貴様が知る必要はない」
     …まあ、そう言うと思ってた。
    「じゃあ俺を巻き込んだことに大して何かいう事は?」
    「……。それについては謝罪をしよう」
     珍しく歯切れの悪いケイの様子を見て思わず吹き出してしまった。
    「おい」
    「悪い悪い、まさかお前が素直に謝るなんて思ってなかったから」
    「……別に、俺とて己に非があれば謝罪くらいする」
     ぷいっと顔を背けたケイはスタスタと歩いていく。それを追い掛けてソテツもバスルームに入ると露骨に嫌な顔をされた。
    「何故ついてくる」
    「一緒に入ろうかなって。嫌な汗かいちまったし?」
    「……好きにしろ」
     詫びも込められているのかな。無事に許可が下りたので、バスローブを脱いで浴室へ入る。ソテツが髪や身体を高級アメニティで磨き直している間、ケイは浴槽の湯に浸かって天井を仰いでいる。
    暫くするとソテツが湯舟に入って来たので入れ違いに出たケイが髪を洗い出す。その様子をソテツが浴槽の縁に頬杖しながら見ていた。長い指先が髪に差し込まれ洗われていく様子は非常に色っぽいものがある。もこもこと泡だらけになるケイを見てソテツが呟いた。
    「今日は随分サービスしてくれるんだな?」
    「偶には良いだろう」
     ケイの言葉を聞いたソテツの顔が、にんまりと笑みの形を取る。それは普段見せるような人懐っこい笑顔ではなく、酷く加虐的で妖艶なもの。髪と身体を洗い終え見た、マンダリンオレンジの瞳の奥に揺らめく欲情の色を見つけてケイは溜め息をつくと、ちゃぷんと浴槽の中へ。
    ずいっと近づくとケイから口付けられる。唇の隙間から差し込まれた舌先は上顎を撫で回し、ソテツの舌と絡ませながら時折強く吸い付く。ソテツの浅黒い手がケイの腰を撫でた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏🙏🙏🙏🙏😭😭😭😭😭💚💛💚💋
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works